本当に関係性が近い人以外は相続税が割増しになる
相続税額の2割加算
相続で財産を取得した方が、亡くなった方の「一親等の血族及び配偶者」以外の方に該当する場合には、その方の相続税は2割増しで計算される(「相続税額の2割加算」と言う)
つまり、
相続税専門税理士㊙カード61【相続税の計算の流れ②】において、「相続税の総額×財産の取得割合」で個々の相続税が計算されたが、相続税の2割加算に該当すると、「相続税の総額×財産の取得割合×120%」となる
「一親等の血族及び配偶者」以外は亡くなった方との関係性が遠いため、財産の取得に偶然性が高いという考え方によるモノ(「棚ぼた」なんだから相続税を多く払ってもいいでしょ、という考え方によるモノ)
例えば、兄弟姉妹は相続税額の2割加算の対象になるのだが、少子高齢化により、お子さんがいらっしゃらず、兄弟姉妹間で支え合って生活されているようなケースも珍しくない
兄弟姉妹が一番近い親戚だからである
しかし、関係性が遠いから相続財産をもらったら「棚ぼた」だ、と判断されてしまう
制度としては、時代の変化に合わなくなってきているモノと思われる
孫と相続税額の2割加算の関係
子が既に亡くなっていて、孫が相続人(このような場合の相続人を「代襲相続人」と言う)になっている場合には、相続税額の2割加算の対象とはならない
ただし、この孫が相続放棄をした場合には、相続税の2割加算の対象となる
国税庁HP・質疑応答事例(一部抜粋加工)
相続を放棄した代襲相続人に遺贈財産がある場合の相続税の2割加算
相続税法第18条によれば、「被相続人の一親等の血族(当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつた当該被相続人の直系卑属を含む。)及び配偶者以外の者である場合」とされており、ここでいう「相続人」には相続を放棄した者は含まれませんから、被相続人の代襲相続人となる直系卑属が相続を放棄した場合には、同条の規定の適用があることになります。
同じ孫が相続人になる場合でも、子が亡くなっていない状態で(欠格・廃除もない状態で)、孫(子の子)が養子縁組により相続人になっているときは、相続税額の2割加算の対象となる
孫以外と相続税額の2割加算の関係
孫以外の方が養子縁組により相続人となっている場合には、相続税額の2割加算の対象とはならない
子の妻が養子縁組により相続人となっている場合には、相続税額の2割加算の対象とはならない
上記で「子が既に亡くなっていて、孫が相続人(このような場合の相続人を「代襲相続人」と言う)になっている場合には、相続税額の2割加算の対象とはならない」とお話したが、「代襲相続人」で相続税額の2割加算の対象とはならないのは、孫(正確には「直系卑属」=「当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となっている場合(相続税法第18条)」)の場合であり、第三順位の兄弟姉妹の代襲相続人(甥・姪)は相続税額の2割加算の対象(兄弟姉妹自体が相続税額の2割加算の対象)