【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

暦年課税による贈与が相続税の申告に影響を及ぼす場合・及ぼさない場合

相続税専門税理士の富山です。

今回は、暦年課税による贈与が相続税の申告にどのように影響するかについて、お話します。


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贈与財産にも相続税が課税される場合がある

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
概要
相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与(「相続等」といいます。)によって財産を取得した人が、被相続人から加算対象期間に暦年課税に係る贈与によって取得した財産があるときは、その人の相続税の課税価格にその財産の贈与時の価額を加算します「生前贈与加算」と言います)。

相続税は、相続で取得した財産だけでなく、その亡くなった方から生前に贈与により取得した財産にも課税される場合があります。

亡くなった方から相続等+贈与で財産をもらった場合

上記のタックスアンサーの出だしにあるように、「相続」「遺贈」「相続時精算課税に係る贈与」により財産を取得した方が、それに加え、生前に贈与により取得した財産がある場合に、生前贈与加算の話が出てきます。

ですから、亡くなった方から、単に生前に贈与を受けているだけで、相続等により財産を取得しない(していない)場合には、相続税の課税はありません。

生前贈与加算の対象外の贈与もある

  1. 「贈与税の配偶者控除」の適用を受けているまたは受けようとする財産のうち、その配偶者控除額に相当する金額
  2. 「直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金」のうち、非課税の適用を受けた金額
  3. 「直系尊属から一括贈与を受けた教育資金」のうち、非課税の適用を受けた金額
  4. 「直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金」のうち、非課税の適用を受けた金額

上記については、生前贈与加算の対象とはなりません(③④の一定の管理残額については、生前贈与加算の対象ではなく、相続等により取得したモノとみなされて、相続税の課税対象になる場合があります)。

生前贈与加算の加算対象期間

亡くなった日 加算対象期間
~令和8年 相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)
令和9年~令和12年 令和6年1月1日から死亡の日までの間
令和13年~ 相続開始前7年以内(死亡の日からさかのぼって7年前の日から死亡の日までの間)

上記にあるとおり、令和8年までの相続であれば、従来と同じ「3年分」の加算です。

ただし、それ以降(令和9年以降)の贈与については、今年の1月以降の贈与が、「3年超分」であっても加算の対象になる場合があります。

3年を超える部分については、総額100万円までは生前贈与加算の対象とはなりません。

贈与税が発生したかどうかは関係ない

贈与時に贈与税を納めていなくても、生前贈与加算の対象となります。

毎年100万円の贈与を受けて、7年間で700万円の生前贈与を受けていたとします。

贈与の時には、年間110万円の基礎控除額以下の贈与なので非課税ですが、その基礎控除額以下だったかどうかは関係なく、700万円が生前贈与加算の対象となり、そのうち3年超分の100万円が加算の対象から外れます(結果的に600万円が加算対象)。

毎年10万円だったら、7年間で70万円が生前贈与加算の対象となり、そのうち3年超分の40万円が加算の対象から外れます(結果的に30万円が加算対象)。

贈与税を納めていれば控除できる

贈与時に贈与税を納めている場合、生前贈与加算で相続税を課税すると、贈与税と相続税の二重課税となってしまうため、計算された相続税から納めた贈与税を控除して(「贈与税額控除」と言います)、最終的に納付する相続税を計算します。

この場合、控除してマイナスになっても還付されません。

想う相続税理士

上記の生前贈与加算の仕組みにより、相続開始年分に亡くなった方から贈与を受けていた場合、その亡くなった方から相続等により財産を取得するか(しているか)どうかにより、贈与税の申告の要否が変わる場合があります。

相続開始年分に亡くなった方から500万円の贈与を受けていた場合、相続等により財産を取得すれば(していれば)、その贈与は相続税の課税対象となるため、贈与税の申告は不要です。

それに対して、相続等により財産を取得しなければ(していなければ)、年間110万円の基礎控除額を超えるため、贈与税の申告・納付が必要となります。