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連生終身保険に係る保険金を受け取った場合の課税上の取扱い

相続税専門税理士の富山です。

今回は、連生終身保険に係る死亡保険金や高度障害保険金を受け取った場合の課税上の取扱いに係る質疑応答事例について、お話します。

国税庁HP(一部抜粋加工)
質疑応答事例
連生終身保険における高度障害保険金等の課税関係


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連生終身保険とは?

連生終身保険とは、複数の方を被保険者とする終身保険です。

死亡した場合に死亡保険金、高度障害状態になった場合に高度障害保険金を受け取ることができます。

被保険者を甲さん・乙さんとすると、甲さんと乙さんのどちらの死亡時・高度障害時にも保険金が支払われるタイプのモノもあれば、どちらかの死亡時・高度障害時に保険金が支払われると、そこで契約が終了するタイプのモノもあったり、また、下記のようなタイプのモノもあります。

夫が保険料を負担していて夫と妻のどちらも被保険者である連生終身保険

【照会要旨】
夫は、次の場合に保険金が支払われる連生終身保険(夫と妻を被保険者とした終身保険)の契約をしています(保険料負担者は夫です)。

  1. 夫と妻が2人とも死亡したとき……指定した受取人(長男)に対して死亡保険金
  2. 一方の被保険者が高度障害状態となり、更に他方の被保険者が高度障害状態となったとき……先に高度障害状態となった者(その者が既に死亡している場合には後に高度障害状態となった者)に対して高度障害保険金
  3. 一方の被保険者が高度障害状態となり、更に他方の被保険者が死亡したとき……先に高度障害状態となった者に対して死亡保険金(国税庁HP上は「高度障害保険金」となっていますが、「死亡保険金」が正しいモノと思われます)

各パターン別の課税関係

上記の契約内容ですと、保険金が支払われるのは、下記の各パターンの〔発生順位2〕の時、ということになります。

発生順位1 発生順位2 保険金受取人
夫(高度障害) 妻(死亡)

上記は、夫が妻の死亡により死亡保険金を受け取るパターンです。

保険料を夫が負担しています。

夫が保険料を負担して夫が保険金を受け取っているため、夫の所得(一時所得)になります。

発生順位1 発生順位2 保険金受取人
妻(高度障害) 夫(死亡)

上記は、妻が夫の死亡により死亡保険金を受け取るパターンです。

保険料を夫が負担しています。

亡くなった方が保険料を負担した死亡保険金を受け取っているため、相続税の課税対象になります。

発生順位1 発生順位2 保険金受取人
妻(死亡) 夫(死亡) 長男

上記は、長男が夫の死亡により死亡保険金を受け取るパターンです。

こちらも上記と同様、亡くなった方が保険料を負担した死亡保険金を受け取っているため、相続税の課税対象になります。

発生順位1 発生順位2 保険金受取人
夫(死亡) 妻(高度障害)
妻(死亡) 夫(高度障害)
夫(高度障害) 妻(高度障害)
妻(高度障害) 夫(高度障害)

上記の夫または妻が受け取る高度障害保険金は、非課税所得です。

所得税基本通達(一部抜粋加工)
9-21 高度障害保険金等
疾病により重度障害の状態になったことなどにより、生命保険契約又は損害保険契約に基づき支払を受けるいわゆる高度障害保険金、高度障害給付金、入院費給付金等(一時金として受け取るもののほか、年金として受け取るものを含む。)は、令第30条(非課税とされる保険金、損害賠償金等)第1号に掲げる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するものとする。

発生順位1 発生順位2 保険金受取人
夫(死亡) 妻(死亡) 長男

上記は、長男が妻の死亡により死亡保険金を受け取るパターンです。

夫が死亡した際(一次相続の際)、この保険契約は相続税の課税対象となります。

一次相続でこの保険契約を妻が相続した場合、長男が受け取る死亡保険金は相続税の対象になるモノと思われます。

一次相続でこの保険契約を長男が相続した場合、長男が受け取る死亡保険金は、長男の所得(一時所得)になるモノと思われます。

想う相続税理士

〔発生順位1〕により、その後の保険料の支払が免除になる場合もあります。