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相続時精算課税による贈与で評価誤りがあっても救済されないケースとは?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続時精算課税適用財産の評価が誤っていた場合の対応について、お話します。


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特別控除額を追加計上できる場合

相続時精算課税贈与に係る贈与税の申告が間違っていた場合の特別控除額の適用

上記の記事では、相続時精算課税による贈与税の申告をしたけれども、その財産の評価額が間違っていた、という場合には、一定の要件に該当すれば、修正申告において追加で特別控除の適用を受けることができる、とお話しました。

相続時精算課税適用財産について1,500万円と評価して令和6年分の期限内申告をしたところ、実は正しい評価額は2,000万円だった、という場合には、一定の要件に該当すれば、1,890(=2,000万円△基礎控除額110万円)の特別控除額を適用(500万円追加計上)することができます。

特別控除額を追加計上できない場合

では、令和6年分の贈与について相続時精算課税適用財産について100万円と評価した場合に、実は正しい評価額は2,000万円だった、という場合、一定の要件に該当すれば、1,890万円(=2,000万円△基礎控除額110万円)の特別控除額を新たに追加計上することができるのでしょうか?

令和6年からは、相続時精算課税に係る基礎控除額110万円が新設されました。

そして、この基礎控除額以内の贈与であれば、贈与税の申告は不要です。

相続時精算課税贈与財産を100万円と評価し、その評価額が110万円以下であることにより、申告をしなかった場合には、「期限内申告をしていない」ということになりますので、追加で特別控除の適用を受けることはできません。

同じ間違えるのでも、120万円と評価していれば、期限内申告をしていたでしょうから、そうすれば、実は正しい評価額は2,000万円だった、ということになっても、一定の要件に該当すれば、1,890万円の特別控除額を適用(1,880万円追加計上)することができます。

想う相続税理士秘書

特別控除額が適用できる要件とは?

相続税法(一部抜粋加工)
第21条の12 相続時精算課税に係る贈与税の特別控除
相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、特定贈与者ごとの前条第1項の規定による控除後の贈与税の課税価格からそれぞれ次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除する。
一 2,500万円(既にこの条の規定の適用を受けて控除した金額がある場合には、その金額の合計額を控除した残額)
二 特定贈与者ごとの贈与税の課税価格
2 前項の規定は、期限内申告書に同項の規定により控除を受ける金額、既に同項の規定の適用を受けて控除した金額がある場合の控除した金額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。
3 税務署長は、第1項の財産について前項の記載がない期限内申告書の提出があつた場合において、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その記載をした書類の提出があつた場合に限り、第1項の規定を適用することができる

相続時精算課税適用財産に特別控除額を適用するためには、「期限内申告書に一定の事項が記載されている」ことが要件となります。

また、上記3項にあるとおり、その一定の事項の記載がない場合においても、税務署長がやむを得ない事情があると認めるときは、特別控除額を追加計上できるのですが、あくまでも「期限内申告書の提出があった場合」のお話です。

想う相続税理士

相続時精算課税による贈与の適用1年目において、相続時精算課税適用財産の評価額が相続時精算課税に係る基礎控除額110万円以下だったため、相続時精算課税制度選択届出書だけを提出した(期限内申告はしなかった)、というような場合において、評価額が誤っていたときは、期限後申告において特別控除は適用できませんので、ご注意を。