【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

亡くなった後に要介護認定があった場合の小規模宅地等の特例

相続税専門税理士の富山です。

今回は、亡くなった方が老人ホームに入所していた場合の相続税申告における小規模宅地等の特例の適用について、お話します。


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亡くなった方やその生計一親族の自宅敷地は評価額を減額できる

相続税の計算においては、一定の居住用または事業用の宅地等について、その評価額を80%または50%減額して申告することができる「小規模宅地等の特例」という制度があり、大きくは「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」「特定居住用宅地等」「貸付事業用宅地等」の4つの適用パターンがあります。

このうち「特定居住用宅地等」は、「亡くなった方」またはその「生計一親族」「居住の用に供されていた宅地等」が対象となります。

「亡くなった方」「居住の用に供されていた宅地等」、つまり、「亡くなった方の自宅敷地」は適用対象となるのですが、亡くなった方の自宅であることには間違いないものの、亡くなった時には自宅に住んでいなかった、老人ホームに入所していた、という場合、小規模宅地等の特例は適用できないのでしょうか?

一定の事由により自宅に住んでいなかった場合には適用可

租税特別措置法(一部抜粋加工)
第69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
居住の用(居住の用に供することができない事由として政令で定める事由により相続の開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていなかつた場合(政令で定める用途に供されている場合を除く。)における当該事由により居住の用に供されなくなる直前の当該被相続人の居住の用を含む。)

政令で定める事由により住んでいなかった場合にはOKとあります。

租税特別措置法施行令
第40条の2 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
2 法第69条の4第1項に規定する居住の用に供することができない事由として政令で定める事由は、次に掲げる事由とする。
一 介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定又は同条第2項に規定する要支援認定を受けていた被相続人その他これに類する被相続人として財務省令で定めるものが次に掲げる住居又は施設に入居又は入所をしていたこと。
イ 老人福祉法第5条の2第6項に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、同法第20条の4に規定する養護老人ホーム、同法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、同法第20条の6に規定する軽費老人ホーム又は同法第29条第1項に規定する有料老人ホーム
(以下省略)

上記の場合、「要介護認定」を受けて、一定の老人ホームに入居していた場合には、自宅に住んでいなくてもOKとあります。

この論点については、通達があります。

租税特別措置法関係通達
69の4-7の3 要介護認定等の判定時期
被相続人が、措置法令第40条の2第2項第1号に規定する要介護認定若しくは要支援認定又は同項第2号に規定する障害支援区分の認定を受けていたかどうかは、当該被相続人が、当該被相続人の相続の開始の直前において当該認定を受けていたかにより判定するのであるから留意する。

では、要介護認定の申請中にお亡くなりになり、亡くなった後に要介護認定があった場合には、どうなるのでしょうか?

要介護認定の効力は申請日にさかのぼって生じる

この場合、亡くなる直前において要介護認定を受けていなかったからアウト、というワケではなく、最終的に(相続後に)要介護認定を受けたということは、その申請をした時に要介護の状態にあった(介護や支援を必要とする状態にあった)ということになりますので、当然、相続の開始の直前においても要介護の状態にあった、ということになりますから、小規模宅地等の特例の適用は可能です。

想う相続税理士

亡くなった後に要介護認定を受けてもしょうがない、ということはありません。

亡くなった後でも要介護認定を受ければ、相続税が安くなる場合がありますので、ご注意を。