【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続時精算課税贈与に係る贈与税の申告が間違っていた場合の特別控除額の適用

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続時精算課税贈与に係る贈与税の申告が間違っていた場合の、特別控除額の適用について、お話します。


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相続時精算課税による贈与には2,500万円の特別控除額がある

相続時精算課税による贈与を受けた場合、贈与者(特定贈与者)毎に、2,500万円の特別控除額を適用することができます。

ザックリ言うと、2,500万円までなら贈与税がかからないのです(実際には基礎控除額を控除した後に特別控除額を適用します)。

特別控除額のおかげで、大型の贈与をしても、贈与税の負担がない、または、少なくて済む、というメリットを享受できる場合があります(その分、相続税がかかります)。

贈与税の申告はしたけれどもスッポリ抜けていた財産がある場合

相続時精算課税による贈与税の申告をしたけれども、申告からスッポリ抜けてしまった財産がある、つまり、申告もれ財産があった場合、申告期限後にその申告もれ財産を追加して修正申告をする際、2,500万円の特別控除額が余っていれば、追加で適用することができるのでしょうか?

令和5年分の贈与税の申告において、財産Aと財産Bを申告しなければならないところ、財産Aについてだけしか申告しなかった、財産Bの申告をするのを忘れた、という場合です。

財産Bについては、特別控除額を適用することはできません。

国税庁HP・質疑応答事例(一部抜粋加工)
相続時精算課税適用財産について評価誤り等が判明し修正申告を行う場合の特別控除の適用
申告期限後に申告漏れ財産を把握した場合には、期限内申告書に特別控除の適用を受けようとする財産としてその申告漏れ財産の記載がないことから、特別控除の適用を受けることはできません。

財産Bについては、特別控除額を控除せず、そのままの評価額に20%の税率を乗じて贈与税が計算されます。

贈与税の申告をしたけれども評価額が過少だった財産がある場合

相続時精算課税による贈与税の申告をしたけれども、評価額が間違っていた、という場合、修正申告において追加で特別控除を適用することはできるのでしょうか?

令和5年分の贈与税の申告において、財産Cについて1,500万円と評価して申告をしたところ、実は正しい評価額は2,000万円だった、という場合です。

この場合、期限内申告書に財産Cが計上されていることから、一定の要件に該当すれば、2,000万円の特別控除額を適用することができます。

申告期限後に申告した財産について評価誤りがあった場合には、期限内申告書に特別控除の適用を受けようとする財産として既に記載があることから、正しい控除を受ける金額の記載がなかったことについてやむを得ない事情があると税務署長が認める場合には、正しい控除金額を記載した修正申告書の提出があったときに限り、修正申告により増加する課税価格についても特別控除の適用を受けることができます。

特別控除の適用可否は「期限内申告」をしているかどうかで決まる

相続税法基本通達(一部抜粋加工)
21の12-1 特別控除を適用する場合の申告要件
法第21条の12(相続時精算課税に係る贈与税の特別控除)第1項の規定は、贈与税の期限内申告書の提出がない限り、適用がないのであるから留意する。
(注) 贈与税の期限内申告書の提出がなかった場合におけるゆうじょ規定は設けられていない。

期限内申告をしておけば、特別控除は適用できます。

もちろん、期限内申告でも適用できますし、上記の財産Cの場合のように、(一定の要件を満たせば)修正申告で増加した評価額部分にもです。

正確な評価額で申告をしても、申告期限を1日でも過ぎたらアウトです。

逆に、評価額が間違っていても、申告期限までに提出していれば、修正申告でも適用が可能です。

想う相続税理士

特別控除が適用できなかったことにより、贈与税を払い過ぎたとしても、相続税の申告では精算されますので、ご安心を。