【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

倍率地域の土地は路線価方式に寄せて地積規模の大きな宅地の評価を適用する

相続税専門税理士の富山です。

今回は、倍率地域の土地が、地積規模の大きな宅地の評価の適用要件を満たす場合の、その評価方法について、お話します。


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倍率方式の評価額に規模格差補正率を適用したら間違い

倍率地域の土地(その土地の地目が「宅地」とする)について地積規模の大きな宅地の評価をする場合、
固定資産税評価額×倍率
で計算した評価額に規模格差補正率を適用する(「×規模格差補正率」する)のは間違い

地積規模の大きな宅地の評価の規定とは別のところに書いてある

倍率方式の土地については、財産評価基本通達21-2に、その評価方法が定められている

財産評価基本通達(一部抜粋加工)
21-2 倍率方式による評価

そして、この21-2の中に、倍率地域の土地について地積規模の大きな宅地の評価を適用する場合の評価方法が定められている

前半部分は、通常の(地積規模の大きな宅地の評価をしない場合の)評価方法が定められている

倍率方式により評価する宅地の価額は、その宅地の固定資産税評価額に地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある宅地の売買実例価額、公示価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。

つまり、
固定資産税評価額×倍率
である

後半部分は、地積規模の大きな宅地の評価を適用する場合の評価方法が定められている

ただし、倍率方式により評価する地域に所在する20-2《地積規模の大きな宅地の評価》に定める地積規模の大きな宅地の価額については、本項本文の定めにより評価した価額が、その宅地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額を14《路線価》に定める路線価とし、かつ、その宅地が14-2《地区》に定める普通住宅地区に所在するものとして20-2の定めに準じて計算した価額を上回る場合には、20-2の定めに準じて計算した価額により評価する

「本項本文の定めにより評価した価額」とは、
①固定資産税評価額×倍率
である

この金額が、

「評価対象地が、補正率が適用されないような形のいい、ほどほどの大きさの土地だったとしたら、1㎡当たりいくらか?」

という金額を路線価方式で計算する場合の路線価とみなし、

その評価対象地が路線価地域の普通住宅地区に所在するものとして、

各種補正率を適用した金額(20-2の「15《奥行価格補正》から前項までの定めにより計算した価額」の部分)、

つまり、

②路線価方式っぽく計算した評価額に規模格差補正率を適用した金額

を上回る場合には、

②路線価方式っぽく計算した評価額に規模格差補正率を適用した金額

で計算する

地積規模の大きな宅地の評価を適用すると相続税が高くなる場合には適用しない

①通常>②路線価っぽく
なら
②路線価っぽくである

逆に、
①通常<②路線価っぽく
なら
①通常である

規模格差補正率を適用できるのは、あくまでも倍率地域の土地を「路線価方式っぽく計算した評価額」だけである(適用した金額が②となる)

ただし、②でやっておけば間違いない、というワケではない

①通常<②路線価っぽく
なら
①通常である
ワケだから、通常の評価の方が安ければ、その評価額を採用しなければならない

想う相続税理士

倍率地域の土地については、(路線価地域の土地なら課されない)「大規模工場用地に該当しない」という要件が課されますので、ご注意を。