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自筆証書遺言・公正証書遺言・自筆証書遺言書保管制度遺言を比較してみる②

相続税専門税理士の富山です。

今回は、公証役場で作成する「公正証書遺言」・法務局で作成する「自筆証書遺言書保管制度遺言」について、考えてみたいと思います。

下記の記事の続きです。

想う相続税理士秘書

自筆証書遺言・公正証書遺言・自筆証書遺言書保管制度遺言を比較してみる①

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「公正証書遺言が最も安心」と言われています

公正証書遺言に対して、「お金がかかる」というイメージを持っている方も多いようです。

ただし、公正証書遺言には、(形式上の不備等により遺言が無効になるリスクがないというメリット以外にも)お金がかかるだけのメリットがあります。

遺言の原本が公証役場に保管されるため、相続人の方などに破棄されるリスクを回避できます。

また、相続発生後、相続人の方などは、公証役場で公正証書遺言があるかどうかを確認できます(「遺言情報管理システム」というモノがあります)。

公正証書遺言は相続が発生したら必ず発見される?

しかし、公正証書遺言だからと言って、相続発生後、必ず相続人の方などに発見してもらえるとは限りません。

遺言情報管理システムの存在を知らなければ、公証役場で確認しようとする行動をとることができません。

前回の記事で、遺言を「弁護士の先生などに預ける」という方法についてお話しましたが、その手を使う場合、「その弁護士の先生などが、相続の発生をすぐに知ることができるような段取りや環境が必要です」とお話しました。

この場合、「自分が亡くなったら弁護士の○○先生に伝えてくれ」と(場合によっては遺言のことには触れずにさりげなく)相続人にお願いするというケースが多くなるかもしれませんが、相続人の方が忘れてしまうことも考えられます。

自筆証書遺言保管制度遺言には「通知システム」がある!

つまり、自筆証書遺言でも、公正証書遺言でも、亡くなった後に遺言を発見してもらわないと(遺言があるという事実が認識されないと)、せっかく遺言を作成しても意味がないのです。

だからと言って、生前に遺言があることを相続人の方などに伝えておくと、それによって争いが生じてしまうことがあります。

遺言があることを、生前は内緒にして、相続が発生したら確実に相続人の方などに伝わる、そういう仕組みがあればいいと思いますよね。

実は、自筆証書遺言保管制度遺言には、それを可能にする「通知システム」があります。

自筆証書遺言保管制度遺言の「通知システム」には、「関係遺言書保管通知」「指定者通知」があるのですが、「指定者通知」を活用すれば、上記のジレンマは解消されます。

法務局HP(一部抜粋加工)
自筆証書遺言保管制度
遺言者が指定した方への通知(指定者通知)について

遺言者が指定した方への通知(以下「指定者通知」といいます。)は、戸籍担当部局と連携して遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認した場合に、あらかじめ遺言者が指定した方(3名まで指定可)に対して、遺言書が保管されている旨をお知らせするものです。なお、この通知は、遺言者が希望する場合に限り実施します。

遺言者が遺言書を遺言書保管所に保管していることを一切誰にも伝えないまま亡くなった場合でも、まず、この指定者通知を受領した方にその事実が伝わり、その方が遺言書の閲覧等を行うことにより、関係遺言書保管通知によって、結果として、その他全ての関係相続人等にも、遺言書が保管されていることが通知されます。

想う相続税理士

相続後における遺言が作成されていることに関する「通知」については、自筆証書遺言保管制度遺言が最も制度的に優れていると思われますが、作成する上での負担等も考慮する必要がありますので、それぞれの形式のメリット・デメリットをきちんと見極めた上で、遺言を作成しましょう。