相続税専門税理士の富山です。
今回は、クレジットカードを渡されて自由に買い物をしたら、税金の課税はどうなるか、ということについて、過去の裁決事例を元に、お話します。
出典:TAINS(F0-3-873)(一部抜粋加工)
令05-03-24裁決
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他人名義のクレジットカードで買い物することによるトク(利益)は贈与税の課税対象
クレジットカードを渡されて「自由に買い物をしていいよ」と言われた場合、タダで買い物ができるワケですから、そのトクした分(利益)は、贈与税の課税対象になります。
相続税法(一部抜粋加工)
第9条
第5条から前条まで及び次節に規定する場合を除くほか、対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額を当該利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなす。
贈与が成立するための要件とは?
民法(一部抜粋)
(贈与)
第五百四十九条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
「贈与」は、あげる方が「あげるよ(利益を与えるよ)」と意思表示し、もらう方が「分かりました。ありがとう」と受け入れることにより成立します。
クレジットカードを渡す、そして、渡された方がそのクレジットカードで買い物をする、ということは、渡す方が贈与の意思表示をし、渡された方がそれを受け入れて買い物をした、そして贈与が成立した、ということになります。
クレジットカードの貸与による贈与成立日は?
クレジットカードを渡されて自由に買い物をした時に、貸与されたクレジットカードで買うことにより、お金を払わずに済んだ、ということになりますから、買い物をしてカードを使用した時に、具体的に贈与が成立する、とされました。
想う相続税理士秘書
クレジットカードの貸与による「トクした金額」は?
物をもらった場合には、その物の贈与時の時価が「トクした金額」になります。
物をもらうのではなく、貸与されたクレジットカードで自分で自由に物を購入した場合には、クレジットカードを渡されて自由に買い物をした時に、貸与されたクレジットカードで買うことにより、「お金を払わずに済んだ」ということが「トク」になりますから、「トクした金額」は「払わずに済んだお金相当額」となりますので、贈与税の課税対象は「クレジットカードによる支払額(購入代金相当額)」とされました。
請求人は、自ら当事者となって、自らのために各ブランド品を購入しており、その購入代金は、請求人が支払うべきものであったにもかかわらず、被相続人から各カード(被相続人及び本件会社の各カード)の自由な使用を認められていたことに基づき、各カードを使用し、被相続人の負担で各ブランド品の購入代金の支払をしたと認められる。そうすると、各カードにより支払われた各ブランド品の購入代金相当額については、被相続人が請求人に贈与する意思を示し、請求人がこれを受諾していたものと認められ、その贈与の履行は、各カードの使用による各支払の時に終了したと認めるのが相当である。したがって、請求人は、各カードを使用して各ブランド品の購入代金が支払われた各日に、当該購入代金相当額を被相続人からの贈与(民法第549条)により取得したものと認められる。
想う相続税理士
クレジットカードにより購入した物は、そのクレジットカードの名義人からお金が出ているので、その名義人のモノ、というワケではありませんので、ご注意を。