相続税専門税理士の富山です。
相続税の申告書を税務署に提出する際、これをやっていないと、「相続税のことを『あまり知らない』人が作った申告書だな(ミスがあるのでは?申告もれがあるのでは?)」と税務署に思われてしまうと予想される(あくまでも私の勝手な予想です)ポイントについて、今回は相続財産の中にアパートなどの賃貸物件があるケースについて、お話します。
預り敷金・保証金の計上の有無
相続税法(一部抜粋加工)
第13条 債務控除
相続又は遺贈により財産を取得した者は、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの
二 被相続人に係る葬式費用
亡くなった方の借入金などの「債務」は、通常、相続人の方などが引き継ぐ(負担する)ことになりますので、その金額を取得した財産の金額からマイナスして相続税を計算することができます(「債務控除」と言います)。
亡くなった方がアパートなどの賃貸物件を所有されていた場合、入居者の方から「敷金」や「保証金」を受け取っていることが多いと思います。
これらの金額は、原則として、その入居者が退居される際に返還するモノです。
つまり「返さなければならないモノ」ですから、借入金などと同じ「債務」であり、債務控除の対象になります。
ですから、賃貸物件(土地・建物)が資産計上されているのであれば、基本的には、預り敷金・保証金も債務として計上されているハズです。
それが計上されていないと、「あまり知らない」と思われてしまう可能性があります。
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退居した場合には返ってくるお金ですので、「資産として計上」する必要がありますので、ご注意を。
預り敷金・保証金の計上額
上記の預り敷金・保証金が、賃貸借契約書で確認した金額で計上されていると、「あまり知らない」と思われてしまう可能性があります。
賃貸期間が終了する時に10万円を返さなければならないとしても、今(死亡日時点)で10万円を返さなければならない(10万円を用意しなければならない)ワケではありません。
では、計算上、死亡日時点ではいくら用意しなければならないか?を計算するときに使用するのが「複利現価率」です。
この複利現価率が0.999だった場合(時期や年数によって異なります)、
10万円×0.999=99,900円
となりますので、99,900円を債務として計上することになります。
土地貸しの場合には、金額が大きくなり、かつ、賃貸期間が長くなる(複利現価率も小さくなる)傾向にありますので、複利現価率を適用するかしないかによる差が大きくなります。
この複利現価率を適用した計算をしていないと、債務の過大計上になり、本来納付すべき相続税よりも相続税を少なく計算してしまう可能性がありますので、ご注意を。
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