他人の山林を借りて造成し太陽光発電設備を敷設した方が亡くなった場合③
想う相続税理士秘書
借りている人の権利(相続財産)は「賃借権」
上記のように雑種地としての評価額を求めても、亡くなった方はその雑種地を所有しているのではない、
借りているだけである
したがって、その雑種地の評価額の一部(賃借権=借りている部分)が相続税の課税対象となる
雑種地の賃借権の評価
雑種地の賃借権の評価については、財産評価基本通達にその規定がある
財産評価基本通達(一部抜粋)
87 賃借権の評価
雑種地に係る賃借権の価額は、原則として、その賃貸借契約の内容、利用の状況等を勘案して評定した価額によって評価する。ただし、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところにより評価することができるものとする。
(1) 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権(例えば、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどがこれに該当する。)の価額は、その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権であるとした場合に適用される相続税法第23条《地上権及び永小作権の評価》若しくは地価税法第24条《地上権及び永小作権の評価》に規定する割合(以下「法定地上権割合」という。)又はその賃借権が借地権であるとした場合に適用される借地権割合のいずれか低い割合を乗じて計算した金額によって評価する。
(2) (1)に掲げる賃借権以外の賃借権の価額は、その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権であるとした場合に適用される法定地上権割合の2分の1に相当する割合を乗じて計算した金額によって評価する。
区分が(1)(2)と2つある
「地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権(例えば、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどがこれに該当する。)」かどうかで分かれる(権利の強さで分かれる、権利が強ければ(1)、弱ければ(2))
今回の事例では、「賃借権の登記をせず、権利金の支払もなく」結んだ契約なので、上記(1)「賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの」には該当しない
また、太陽光発電設備が「堅固な構築物」であれば、上記に該当する可能性があるが、通常の太陽光発電設備であれば(ほどんどの場合には)、該当しないモノと思われる(もちろん、設置状況(架台・土台等)を確認する必要有)
したがって、(2)で評価する
想う相続税理士