他人の山林を借りて造成し太陽光発電設備を敷設した方が亡くなった場合②
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雑種地の評価
雑種地は次のように評価する
財産評価基本通達(一部抜粋加工)
82 雑種地の評価
雑種地の価額は、原則として、その雑種地と状況が類似する付近の土地についてこの通達の定めるところにより評価した1平方メートル当たりの価額を基とし、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額によって評価する。
ただし、その雑種地の固定資産税評価額に、状況の類似する地域ごとに、その地域にある雑種地の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価することができるものとし、その倍率が定められている地域にある雑種地の価額は、その雑種地の固定資産税評価額にその倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
太陽光発電設備の敷地となった土地の「状況類似付近土地」は、山林になるモノと思われる
そうすると、山林ベースで評価する
造成費相当額を加算する
しかし、山林ではなく、造成して(手をかけて、お金をかけて)原っぱ(雑種地)にしたところに太陽光発電設備を敷設している
つまり、山林としての評価額に、造成費相当額を加算して、雑種地としての評価額を計算する
この場合の「造成費」は、財産評価基準書の「宅地造成費の金額表」の「市街地農地等の評価に係る宅地造成費」を準用するか、実際にかかった費用をベースに計算するか、ということになるモノと思われる
ただし、雑種地にする、というのと、宅地にする、というのとは違う
今回加算すべきは、「宅地造成費」ではなく、「雑種地造成費」である
つまり、宅地造成費ほど費用がかからない、という考え方もできる(場所的にその逆、という考え方もできる)
「市街地農地等の評価に係る宅地造成費」を準用するのであれば、市街化調整区域の雑種地の評価に適しているか、ということも検討すべきである
通常、市街地農地等を評価する場合には、宅地ベースの金額から造成費を控除して計算する
つまり、造成費の金額が大きければ大きいほど、控除できる金額が大きくなり、評価額が安くなる
しかし、上記の(元山林の)雑種地の評価においては、山林としての評価額に造成費を加算するので、造成費の金額が大きければ大きいほど、加算される金額が大きくなり、評価額が高くなる
だからと言って、造成費を意図的に少なく計算するのは問題である(財産の過小評価である)
したがって、加算する造成費の金額については、きちんとした根拠を示せるようにしておく必要がある
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