相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税申告(財産評価)における「時価(適正な時価)」について、お話します。
適正な時価かどうかはどうやって検証する?
財産評価基本通達は法律じゃないから無視していい? 上記の記事で、「(財産評価基本通達とは)別の方法により評価したのであれば、『その評価額が時価である』ということを説明(疎明)できなければなりません。」「適正な評価額が計算できる方法を考え、それに従って評価し、それが適正かどうかを検証する必要があります。」とお話しました。また、その記事のベースとなった記事
相続後の売却金額をベースにマンションの相続税評価額を計算していいとされた事例
では、相続財産であるマンションについて、実際に売却した金額をベースに評価していい、という結論になった裁決事例を紹介しました。
もし、同じようなケースに遭遇した場合(相続後に相続財産を売却していて、その売却金額をベースとして相続税の申告をすべきではないかと思われる場合等)には、その売却金額等が「適正な時価」かどうかは、どのように検証すればいいのでしょうか?
想う相続税理士
自然体の売買か?
取引というのは、ザックリ、誤解を恐れずに言うと、どちらかが損をすると、どちらかがトクをします。
買う側が安く買い叩けば、買う方は(安く買えるので)トクをしますが、売る方は(本当はもっと高く売れたので)損をします。
こういう状態で売買された金額は、「適正な時価」とは言えません。
買う側・売る側の資金繰りの状態も関係してきます。
買う側・売る側が「買いたいけどあまりお金がない」「相続税の納税のためにお金が必要だ(安くてもいいから早く売りたい」という状態であれば、売買金額は「適正な時価」よりも下がるでしょう。
対等な立場間の売買か?
お互いの利益を最大化する、というのが通常の経済取引です。
最初は、売る方が「高く売りたい(いっぱいお金が欲しい)」、買う方が「安く買いたい(できるだけお金を出したくない)」と考えていて(「相手が損しても自分がトクしたい」と両者が考えていて)、最終的に、その両者が歩み寄ったところで取引金額が決まります。
親族間や同族会社間(会社とその社長の間等)の取引では、「自分がトクして相手を損させたい」なんて考えません。
相手も自分みたいな存在だからです。
そのような取引だと、その売買金額が「適正な時価」だと主張するのは難しいと思われます。
(裏で)つながっているので、金額はどうにでもなる、と税務署は見るからです。
想う相続税理士秘書
想う相続税理士