相続税専門税理士の富山です。
今回は、
相続開始年分の贈与に初めて相続時精算課税を適用する場合の注意点
の続きのお話です。
相続時精算課税選択届出書の提出期限は次のいずれか早い日
相続開始年分の贈与について相続時精算課税を適用しようとする場合における相続時精算課税選択届出書の提出期限は次のように定められています。
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4302 贈与者が贈与した年の中途に死亡した場合の相続時精算課税の選択
贈与者が贈与をした年の中途に死亡した場合に、相続時精算課税の適用を受けるときは、贈与税の申告書を提出する必要はありませんが、「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。
この場合における「相続時精算課税選択届出書」の提出期限および提出先は通常の場合とは異なり、次のイまたはロのいずれか早い日までに、贈与者の死亡に係る相続税の納税地の所轄税務署長に提出します。
イ 贈与税の申告書の提出期限(通常は、贈与を受けた年の翌年の3月15日)
ロ 贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限(通常は、相続の開始の日の翌日から10か月を経過する日)
「いずれか早い日」では対応できない場合がある!
単純に上記の「次のイまたはロのいずれか早い日まで」ということにしてしまうと、R6.10.2に相続税の申告書を提出する、R6.10.15に相続時精算課税選択届出書を提出する、ということが可能になってしまいます。
そうすると、R6.10.2時点では相続開始年分の贈与について相続時精算課税を適用するかどうか分からない、ということになってしまい、相続税もちゃんと計算できません。
適用するのであれば相続税の課税対象になりますし、適用しないのであれば、相続税の課税対象にならない場合があるからです。
そこで、
なお、上記ロの日がこの届出書の提出期限となる場合に、贈与者の死亡に係る相続税の申告書を提出するときには、相続税の申告書にこの届出書を添付しなければなりません。
ということになっています。
相続税の申告期限が先に来る場合には、その相続税の申告期限が届出書の提出期限となり、その届出書をその相続税の申告書に添付する必要がある、ということになります。
相続税の申告書を提出しない場合はどうなる?
「相続時精算課税選択届出書の提出が相続税の申告よりも後にならないように、届出書は相続税の申告書に添付して提出する決まりになっているのか!ナルホド!」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、この別段の定めだけでは完璧じゃありません。
相続税がかからないことにより、相続税の申告書を税務署に提出しない場合もあるのです。
その場合には、また別段の定めがあります。
(注1) 相続税の申告書を提出する必要がない場合であっても、相続時精算課税の適用を受けるためには、提出期限までにこの届出書を贈与者の死亡に係る相続税の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
つまり、R6.11.2までに相続時精算課税選択届出書だけを提出する必要があるのです。
想う相続税理士