相続税専門税理士の富山です。
今回は、他の相続人の方から開示された亡くなった方の財産の金額が少ない(他にも財産があるのではないか?)と思った時にどうすればいいか、ということについて、お話します。
相続財産に関する情報格差が争族を生む場合がある
亡くなった方の財産に関する情報については、情報量に差が出てしまう場合があります。
同居していたり、同居していなくても生活のお世話をしていたり、ちょくちょく会っていたりした方と、そうでない方で差が出るのは当然かもしれません。
遺産分けの話を進めよう、ということになり、例えば、同居していた長男がまとめた亡くなった方の財産目録的なモノを見て、「財産がもっとあるんじゃない?」と感じると、「兄貴は財産を隠しているんじゃないか?」と疑ってしまうことがあるかもしれません。
財産隠しがあると遺産分け・相続税申告に支障が出る
実際に、上記の長男が財産を隠していたとします。
そうなると、遺産分け自体が無効になる場合があります。
民法(一部抜粋)
(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
また、相続税は全体の財産に対する相続税を計算し、それを財産の取得割合で按分して納付します。
ですから、財産の申告もれがあると、財産を取得した方全員の相続税が増加する(延滞税等もかかる)場合があります。
その金融機関に口座があるかどうかが分からない場合はどうする?
他にも財産があるとすれば、それは現金・預貯金の場合が多いのではないでしょうか?
以前、下記の記事で「相続人の方が金融機関に単独で接触し、亡くなった方の口座の過去の取引履歴(口座の動き)の開示を金融機関に請求することができる」ということをお話しました。
想う相続税理士秘書
でも、それはその金融機関に口座がある、ということが分かっている場合のお話です。
その金融機関に口座があるか分からない、あるとしても、どこの支店にあるか分からない、という場合には、どうすればいいのでしょうか?
その場合には、支店等が分からなくても「全店照会」をすることで、その金融機関の口座の有無を確認することができる場合があります。
また、これを弁護士の先生にやっていただくことも可能です(弁護士の先生が弁護士会を通じて照会する「弁護士会照会」というモノがあります)。
想う相続税理士
特定の方に内緒で贈与をしたりすると(贈与をしたつもりになっていたりすると)、争族になってしまったり、予期せぬ課税を生じる結果となることがありますので、ご注意を。