【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

養子縁組による名字の変更と相続分・相続人の変更に注意

相続税専門税理士の富山です。

今回は、養子縁組により、その養子の方に相続権を持たせることができること以外に、どのような変化が起こるか、ということについて、お話します。


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養子の方の名字が変わる場合がある

相続税対策・相続対策として養子縁組をする場合がありますが、この養子縁組において注意すべき点があります。

それは「名字の変更」です。

養子縁組をすることにより、その養子の方の名字が変わる場合もあれば、変わらない場合もあります。

また、変わるケースでも、養子縁組前後で同じ名字の場合もあります(結果的に変わらない)。

さらに、結婚により名字が変更になっている場合には、変わらなかったりします。

養子縁組により名字が変わるかどうかはケースにより異なりますので、養子縁組を検討されている場合には、名字が変わる可能性があるということを踏まえつつ、変わらないこともある、ということで、ご自分のケースがどうなのか(変わるのか・変わらないのか)を確認しましょう。

民法(一部抜粋)
(養子の氏)
第八百十条 養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。

お互い再婚でお子さん(連れ子)がいる場合

また、連れ子がいる方同士(Dさん・Eさん)の再婚の場合に、片方の連れ子だけがご自分の実の親の再婚相手の方と養子縁組をするということになると、その養子縁組をした連れ子だけがDさん・Eさん両方の子となり、Dさん・Eさんの相続について相続人として相続権を有することになり、養子縁組をしなかった連れ子はご自分の実の親の相続についてのみ相続人となる、ということになります。

このような場合、再婚したお二人がそれぞれ連れ子の方をご自分の子と同じように可愛がっていても、相続では不公平が生じてしまいます。

また、連れ子の方の立場から見ても、ご自分の実の親が亡くなり、その財産を再婚相手が相続した後、その再婚相手が亡くなった場合、その再婚相手と養子縁組をしていれば、その財産(元はご自分の実の親の財産)を回り回って相続できる(養子縁組をしていないとできない)という点にご留意いただく必要があるものと思われます。

再婚しただけでは、連れ子の方は子にはなりません。

下記の記事もご覧ください。

想う相続税理士秘書

連れ子の方に財産を相続させる方法とその相続税申告上のメリット

養子縁組が相続に与える影響とは?

養子縁組をするということは、実子としての身分を取得することになります。

民法(一部抜粋)
(嫡出子の身分の取得)
第八百九条 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

この場合、2つの点に注意が必要です。

1つ目は、遺産分けにおいて子(=相続人)が1人増えるということは、その分だけ財産の取り分が減る方が出てくるということです。

見方によっては、他の相続人に不利益が生じることになる、ということです。

「養子縁組をする・した」ということに対して、よく思わない相続人の方も出てくるということです。

つまり、養子縁組をすることにより、遺産分けがモメてしまう、まとまりにくくなる(相続対策としては逆効果になる)可能性がありますので、場合によっては、遺言の併用等も検討しましょう。

単純に財産を上げたいという場合にはあえて栄養支援金をせずに遺言だけで遺産を渡すという方法も検討すべきですただしこの場合には相続税が2割増課税になる場合があるので注意が必要です

2つ目は、養子縁組をすることによって、しなければ相続人になった方が相続人になれなくなるというケースがあります。

例えば、お子さんがいない方が養子縁組をした場合には、その養子の方が「子」(第一順位)として相続人になるのですが、その「子」がいなければ、「親(等の直系尊属)」(第二順位)が相続人になっていたハズです。

養子縁組することにより、相続人が親から子に変わる、ということになりますから、これまた親の方にとっては、財産がもらえなくなる、ということになります。

想う相続税理士

養子縁組をする場合には、上記の点などに十分ご注意を。