相続税専門税理士の富山です。
今回は、死亡保険金と一緒にその他の入金もあった場合の取扱いについて、お話します。
死亡保険金に対する課税は3パターン
死亡保険金を受け取った場合、相続税がかかる場合もあれば、所得税がかかる場合もあり、贈与税がかかる場合もあります。
保険料負担者 | 被保険者 | 死亡保険金受取人 | 税金の種類 |
夫 | 夫 | 妻 | 相続税 |
夫 | 妻 | 夫 | 所得税 |
夫 | 妻 | 子 | 贈与税 |
「相続があったけど、財産がそれほど多くなかったから、相続税の非課税枠(「遺産に係る基礎控除額」=3,000万円+600万円×法定相続人の数)には全然届かなかった。相続税はかからないな。」と思っていたら、税務調査があり、「所得税の申告がもれています。」なんて言われちゃうことがあるのです。
とはいえ、一番多いのは上記の表の一番上の「相続税」のパターンでしょう。
この「相続税」のパターンで受取人が相続人の場合には、
500万円×法定相続人の数
の死亡保険金の非課税枠(死亡保険金の非課税限度額)を適用することができます。
前納保険料も死亡保険金扱い
相続税法基本通達(一部抜粋)
3-8 保険金とともに支払を受ける剰余金等
法第3条第1項第1号の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる保険金には、保険契約に基づき分配を受ける剰余金、割戻しを受ける割戻金及び払戻しを受ける前納保険料の額で、当該保険契約に基づき保険金とともに当該保険契約に係る保険金受取人(共済金受取人を含む。以下同じ。)が取得するものを含むものとする。
その一番多いパターンと思われる「相続税」が課税されるケースで、受取人の方が死亡保険金だけではなく、剰余金や前納保険料も受け取る場合があります。
これらも「死亡保険金」として取扱われるため、死亡保険金の非課税枠を適用することができます。
亡くなった方が受け取るハズだった入院給付金の取扱い
その生命保険を契約した生命保険会社で医療保険にも加入していた場合、死亡保険金だけでなく、生前の入院給付金も一緒に支払われる場合があります。
これには、上記通達3-8の取扱いはありません。
亡くなった方が受け取るハズだったものを受け取らずに(「未収」の状態で)お亡くなりになった、それを代わりに相続人の方などが受け取ることができる、ということになるため、「未収入金」として通常の財産(本来の財産)として申告する必要があります。
亡くなった方以外の方が受取人となっている入院給付金の取扱い
上記は、入院給付金の受取人が亡くなった方になっていた場合のお話です。
そうではなく、例えば配偶者が受取人になっていた場合にはどうなるでしょうか?
この場合には、相続税だけでなく、所得税もかかりません。
所得税基本通達(一部抜粋加工)
9-20 身体に損害を受けた者以外の者が支払を受ける傷害保険金等
令第30条(非課税とされる保険金、損害賠償金等)第1号の規定により非課税とされる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」は、自己の身体の傷害に基因して支払を受けるものをいうのであるが、その支払を受ける者と身体に傷害を受けた者とが異なる場合であっても、その支払を受ける者がその身体に傷害を受けた者の配偶者若しくは直系血族又は生計を一にするその他の親族であるときは、当該保険金又は給付金についても同号の規定の適用があるものとする。
(注) いわゆる死亡保険金は、「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」には該当しないのであるから留意する。
想う相続税理士