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相続の順番に注意!相続時精算課税に係る受贈者が先に死亡した場合

相続税専門税理士の富山です。

年長者が先にお亡くなりになるとは限りません。

今回は、相続時精算課税による贈与をした場合の二重課税のリスクについて、お話します。

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特定贈与者(父母や祖父母など)から受贈者(子や孫など)への贈与に限定

相続時精算課税の適用を受けようとする場合、あげる人(特定贈与者)・もらう人(受贈者)の要件があり、あげる人は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母など、もらう人は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者のうち、あげる人の直系卑属(子や孫など)である推定相続人または孫とされています。

相続時精算課税贈与は基礎控除額以外が相続税の課税対象になる

父(財産2億円)・子(財産1億円)・孫(財産0円)の3世代がいたとします。

父が子に現金2,000万円を相続時精算課税により贈与したとします。

子はその2,000万円を使わずに持っています。

この現金2,000万円の贈与については、相続時精算課税による贈与のため、贈与時には贈与税が発生しませんが、父に相続が発生した場合に、110万円の基礎控除額を控除した1,890万円が、父の相続財産に加算(持戻し)されます。

贈与された金額のうち、1,890万円に相続税が課税されるのです。

父(特定贈与者)よりも先に子(受贈者)が亡くなった場合

父に相続が発生する前に、子に相続が発生したとします。

子の相続財産は、元々所有している1億円+父から贈与を受けた現金2,000万円=1億2,000万円です。

孫は、父の相続に際して、1億2,000万円の相続財産に対する相続税を納付します。

子の相続の発生後、父に相続が発生したとします。

相続人である子は既に死亡しているため、代わりの相続人(代襲相続人)として、孫が父の財産を相続します。

父の手元には、元々あった2億円から子に相続時精算課税贈与した現金の分を控除した1億8,000万円の財産があります。

そうすると孫は、子の代わりに、父の相続に際して、この1億8,000万円に対して相続税を納付するのかというと、そうではなく、上記でお話した相続時精算課税贈与1,890万円の加算(持戻し)適用後の金額に対して相続税が課税されるため、1億8,000万円+1,890万円=1億9,890万円に相続税が課税されます。

ご一家では父2億円+子1億円+孫0円=3億円の財産しかないのですが、
(子の相続時)1億2,000万円+(父の相続時)1億9,890万円=3億1,890万円
の財産に対する相続税を納めることになります。

つまり、相続時精算課税贈与をした2,000万円のうち、基礎控除額110万円を控除した残りの部分に対して、二重に相続税が課税されてしまうのです。

相続税法(一部抜粋加工)
第21条の17 相続時精算課税に係る相続税の納付義務の承継等
特定贈与者の死亡以前に当該特定贈与者に係る相続時精算課税適用者が死亡した場合には、当該相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含む。以下この条及び次条において同じ。)は、当該相続時精算課税適用者が有していたこの節の規定の適用を受けていたことに伴う納税に係る権利又は義務を承継する。ただし、当該相続人のうちに当該特定贈与者がある場合には、当該特定贈与者は、当該納税に係る権利又は義務については、これを承継しない。

想う相続税理士

子や孫が先に亡くなった場合の二重課税のリスクにも、ご留意を。