想う相続税理士
コンテンツ
相続税も贈与税もかからない絶対的非課税枠の誕生
相続時精算課税の基礎控除が創設された
相続時精算課税については、もらう人ベースで年間110万円の基礎控除が創設された
この基礎控除は暦年課税の(同じくもらう人ベースで年間110万円の)基礎控除とは別のモノである
したがって、ある年において、相続時精算課税で贈与を受け、かつ、暦年課税で贈与を受けることにより、年間で適用できる基礎控除(非課税枠)は110万円+110万円=220万円となる
相続税対策としての生前贈与は暦年課税がメイン
生前贈与は相続税対策の王道である
その場合の生前贈与は暦年課税による贈与であった
なぜなら、相続時精算課税による贈与財産は「必ず」相続税の課税対象に「なる」からである(令和5年度税制改正による改正有)
一般的な相続税対策としての生前贈与は、相続財産を減らすために、亡くなる前に財産を減らすために行われる
生前贈与しても相続税の課税対象が減らない(「必ず」相続税の課税対象に「なる」)相続時精算課税では、相続税の節税につながらないのである(令和5年度税制改正による改正有)(値上がり物件・収益物件は相続時精算課税でも節税になる)
そしてもちろん、暦年課税による生前贈与も無税というワケにはいかず、「贈与税」が課税されるのだが、相続税の税負担よりも低い税負担で生前贈与すれば、相続税の節税が実現する
財産が多いからこそ節税効果が高くなる
生前贈与による相続税対策の効果が大きいのは「富裕層」である
相続税は超過累進税率であるため、財産が多いほど適用される税率が高くなる
逆にいうと、少し財産を減らすだけでも、適用される税率が下がるため、相続税は安くなる
「富裕層=財産が多い=課税対象が大きい」ということは、ちょっとした税率の引き下げでも、課税対象が大きいため、減少する相続税が大きいのである
相続税の実効税率が40%の(つまり、何もしなければ財産1,000万円に対して400万円の相続税を納めなければならなくなる)場合、生前贈与により、仮に贈与税の実効税率10%で(財産1,000万円に対して100万円の贈与税で)財産を移転できれば、30%(=40%△10%)分の相続税が節税できる(財産1,000万円に対して300万円分)
さらに、相続財産が減ることにより、相続税の実効税率が下がるため(相続税は超過累進税率であるため、生前贈与により相続財産の金額が減少すれば、適用される税率が低くなる)、生前贈与はさらに相続税の節税効果を生む
暦年課税よりも強力かつ魅力的な相続時精算課税の基礎控除
このように、暦年課税で生前贈与をするのが相続税対策の王道だったのだが、創設された相続時精算課税の基礎控除は「必ず」相続税の課税対象に「ならない」モノとされた
暦年課税の基礎控除は生前贈与加算(相続で財産を取得した方が亡くなった方から相続開始前3~7年間に贈与を受けた財産を相続財産に加算して相続税を計算する)に引っかかると、相続税の課税対象になる
つまり、相続時精算課税の基礎控除は、暦年課税の基礎控除よりも強力な、相続税も贈与税も絶対にかからない「絶対的非課税枠」としての性格を持つモノなのである