相続税専門税理士の富山です。
今回は、遺産分けを考える場合の大枠の考え方について、お話します。
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STEP1:小規模宅地等の特例の適用を検討する
相続税の計算においては、一定の居住用または事業用の宅地等について、その評価額を80%または50%減額して申告することができる「小規模宅地等の特例」という制度があります。
この特例の適用パターンはいくつかあるのですが、その特例適用には「取得者」の要件があります。
特例対象宅地等については、特例適用のシミュレーションを行い、それを踏まえて取得者を検討しましょう。
STEP2:配偶者がいる場合に考えるべきこと
配偶者がいるかどうかで、相続税の金額は大きく変わります。
配偶者が相続で取得した分については、「配偶者の税額軽減」の適用を受けることができ、
- 1億6,000万円
- 法定相続分相当額(法定相続人が配偶者と子である場合には1/2)
今回の相続に係る相続税の支払いをとにかく少なくしたい場合には、この配偶者の税額軽減の効果を活かすべく、配偶者に多くの財産を取得してもらいましょう。
二次相続の相続税について考える
配偶者が財産を多く相続すると、その配偶者が亡くなった時(「二次相続」と言います)の相続税が高くなります。
ただし、「いずれか多い金額」までの部分については、この「相次相続控除」の適用はありません。
想う相続税理士秘書
二次相続までの相続税対策の可否を考える
配偶者が財産を多く相続しても、二次相続が発生するまでの間に相続税対策ができれば、二次相続の相続税を抑えることができます。
相続税対策ができるかどうかは、「意思能力」の有無(=贈与による財産の移転ができるかどうか)や、あくまでも予想になりますが、相続税対策が実施できる期間等がどれくらいになりそうか等、その配偶者の方のご年齢等を考慮する必要があります。
STEP3:納税資金が確保できるか
財産を相続すると、それに見合う相続税を納めなければなりません。
その相続税の額に比べて、相続人の方の自前の資金が少なかったり、相続財産の中に現預金や換金性の高い財産(上場株式等)が少ない場合には、遺産分けに工夫が必要となります。
物納や延納をするのであれば現預金等を相続しない
物納や延納をする場合、その申請をする方が「金銭納付を困難とする」状態でないと認めてもらえません。
現預金等を相続すると、それで相続税を払えることになりますので、その分は「金銭納付が困難ではない」ということになり、物納や延納が認められる金額が少なくなります。
できるだけ物納や延納で済ませたい、という場合には、現預金等を相続しない方が良いでしょう。
売却できる土地がある場合には共有も検討する
共有で相続することはあまりおススメしませんが、共有で相続することによりメリットが出る場合があります。
立地が良かったりすると、「売ってください」という人が何人も家に来たりします。
そのような土地を売却して相続税を納める場合には、共有で相続し、そのまま売却するとメリットがある場合があります(「相続空き家の特例の3,000万円の特別控除」の複数人適用等)。
想う相続税理士