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相続税専門税理士㊙カード34【相続時精算課税の活用方法と注意点】


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相続時精算課税は金額の大きい財産の贈与に適しているが・・・

争族対策としての遺言

相続が発生すると、「遺産分割」「納税資金」「節税」という問題に直面する

相続税が出なくても、遺産分割は必要

遺産分割がうまくいかないと、争族になる

遺産分割対策(争族対策)と言えば「遺言」である

遺留分の問題は残るにせよ、生前に遺産分割を決めることができる

しかし、遺言があれば安心かというと、そうでもない場合もある

遺言は何度でも作り直すことが可能だからである

万が一、自分の知らないところで新たな遺言ができているかもしれないと思うと不安になる

遺言に法的効果があるとしても、相続が発生しないとその効力は生じない

争族対策としての生前贈与

そこで、生前贈与を受け、相続が発生する前に所有権を移転しておきたい、と考える

しかし、生前贈与は贈与税の課税対象である

贈与税は相続税回避を防止する観点から、税率が高い

それなりの金額(評価額)の財産を贈与すると、高額の贈与税が課税されてしまう

例えば、同族会社の株式は、きちんと後継者に移転しないと、後継者が経営支配権を握ることができず、最悪の場合、会社から追い出されてしまう

そこで、生前贈与しておこうと考えるが、近年はそんなに利益が出ていなくても、過去の利益の蓄積があると、株価がベラボウに高くなったりする

高額な財産を生前に贈与するには?

この問題を解決する方法がある

相続時精算課税による贈与を活用するのである

贈与をすることにより、生前に所有権は移転する

そして、相続時精算課税を選択することにより、贈与税の税率ではなく、相続税の税率で課税される

生前贈与のリスク

ただし、リスクもある

次のようなリスクを相続時に発生させる可能性がある

相続が発生し、相続税の申告をする時、他の相続人等に、その生前贈与がバレる(相続時精算課税による贈与財産は必ず相続税の課税対象になるから)

それにより、争族になる可能性がある

その対応を考えておく

遺言があれば遺留分だが、遺言がなければ法定相続分

そこで、遺言を作成してもらう

遺言がないよりあった方がいい(遺留分<法定相続分)

万が一、遺言が作り直されたとしても、同族会社の株式は、既に手中にある

全体の財産を把握して、代償金・代償分割金の金額を予想する

同族会社の株式の評価額が高いと、代償金・代償分割金の準備で苦労する可能性がある

また、特別受益として取扱う場合、その金額は相続開始時の価額

民法(一部抜粋)
(特別受益者の相続分)
第九百三条
第九百四条 前条に規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定める。

つまり、同族会社の株式が、相続が発生した時に値上がりしていた場合、その金額で遺産分けを計算することになってしまう