相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続における3つの基本的な対策と言われる「争族対策」「相続税の納税資金対策」「相続税の節税対策」のうち、「納税資金対策」について、お話します。
財産があるからと言って納税できるワケではない
相続税は超過累進税率ですから、基本的に、財産が多ければ多いほど、相続税もどんどん高くなります。
その財産が現預金であれば、取得後にそのまま納税に充てることができますが、換金できない(換金しづらい)財産だったら大変です。
相続財産の中に預貯金があっても、そのほとんどが相続税の納税で消え、残ったのはほんの少しの預貯金と多数の不動産、という場合、相続及び相続税の申告は乗り切れたとしても、今後はその多数の不動産を所有することによるコスト(固定資産税等)が発生します。
相続後の土地の活用や処分を検討して進めるにしても、当面はコストの負担が必要となりますから、相続税の納税資金対策は、余裕を持った金額の準備が望ましいと言えます。
準備しなければならない金額自体が減れば、対策が楽になりますので、節税対策も同時に進めていくと効果的です。
上記で土地の活用や処分、とお話しましたが、生前に土地の処分を進め、納税資金の原資となる現預金を増やしておくことも重要です。
売り急ぐと値段が下がりますから、余裕をもって売却を進めましょう。
土地を処分すると言っても、どの土地を売るかを考える必要があります。
そのためには、まず財産の精査を行いましょう。
売るワケにはいかない土地もあるでしょうし、逆に、評価額(固定資産税評価額・相続税評価額)よりも高い金額で売れる土地もあったりします。
多くの場合、売ろうと思って土地を所有していませんから、売るという目で土地を再確認し、処分(売却)に向く土地がないか検討しましょう。
生命保険を活用する
生命保険は、相続税の納税資金対策に大変有効です。
遺産分けがモメてしまい、遺産が未分割の状態でも、10ヶ月以内に相続税の申告と納税をする必要があります。
口座が凍結されていても関係ありません。
死亡保険金は、受取人の固有の財産です。
相続税はかかりますが、相続財産ではありませんので(「みなし相続財産」です)、他の相続人の同意を得ることなく、請求手続きを行うことができ、キャッシュを手に入れることができます。
同族会社の株式は会社に買ってもらう
同族会社の株式は、公開された市場があるワケではありませんから、売却して換金するのは難しいです。
また、それができたとしても、実際に売却して手放すと、会社の経営支配権も手放すことになってしまうため、できません。
このような場合、相続した後にその同族会社の株式を発行会社に売却することも検討しましょう(「金庫株」と言います)。
その売却で得た資金を相続税の納税資金に充てることができます。
想う相続税理士