【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続時精算課税贈与は最終的に贈与税がかからない贈与

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続時精算課税による贈与について、お話します。


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2,500万円を超えると贈与税がかかる?

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.4103 相続時精算課税の選択
相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳(注1)以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
相続時精算課税の適用を受ける贈与財産については、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。
その贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)を控除した後の金額に、一律20パーセントの税率を乗じて算出します

上記にあるとおり、相続時精算課税贈与には、(1年間ではなく一生涯で)2,500万円の特別控除額があり、2,500万円までの贈与であれば、贈与税がかかりません。

2,500万円を超えると、超える部分について、確かに20%の「贈与税」がかかります。

しかし、これは実質的には贈与税ではありません。

相続時精算課税贈与に係る贈与税は「前払相続税」である

相続時精算課税贈与に関して一番忘れてはいけないのは、その贈与の時のことだけを考えてはいけない、ということです。

相続時精算課税贈与は、その名のとおり、「相続」「時」「課税」「精算」される「贈与」です。

相続の時に課税されるのは何でしょうか?

そうです、相続税です。

相続時精算課税贈与は、その贈与が将来の相続税の申告に必ず影響する贈与です。

そして、最終的に相続税が課税されて、贈与税は戻ってくる(または相殺される)のです。

つまり、(2,500万円を超える部分について)贈与税を払っても、その分、相続税が減ったり、場合によっては、全額還付されるので、相続税を前払いしているのと実質的に同じなのです。

贈与税が戻ってくるケース・相殺されるケース

贈与税が相殺されるケース

財産5,000万円の父Aさんが、推定相続人(法定相続人)である子Bさん(相続人は子Bさん1人のみ)に、3,000万円の相続時精算課税贈与をした場合(贈与をした後の相続開始時点の財産は5,000万円△3,000万円=2,000万円)
(1)贈与時
(3,000万円△2,500万円)×20%=100万円

(2)相続時
①正味遺産額:相続開始時点財産2,000万円+相続時精算課税贈与財産3,000万円=5,000万円
②課税遺産総額:5,000万円△3,600万円(※)=1,400万円
※3,600万円=3,000万円+600万円×1人
③算出税額:1,400万円×15%△50万円=160万円
④申告納税額:160万円△相続時精算課税贈与に係る贈与税100万円=60万円(納付)

贈与税が還付されるケース

財産3,500万円の父Cさんが、推定相続人(法定相続人)である子Dさん(相続人は子Dさん1人のみ)に、3,000万円の相続時精算課税贈与をした場合(贈与をした後の相続開始時点の財産は3,500万円△3,000万円=500万円)
(1)贈与時
(3,000万円△2,500万円)×20%=100万円

(2)相続時
①正味遺産額:相続開始時点財産500万円+相続時精算課税贈与財産3,000万円=3,500万円
②課税遺産総額:3,500万円△3,600万円(※)=△100万円<0円 ∴0円
③算出税額:0円
④申告納税額:0円△相続時精算課税贈与に係る贈与税100万円=△100万円(還付)

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