相続税専門税理士の富山です。
今回は、非上場株式(同族会社株式)の株価引き下げ方法について、お話します。
スムーズな事業承継のために株価を引き下げる
会社経営者(株主)の相続の際、その会社の株式がネックになる場合があります。
会社の業績が良かったり、過去の利益の蓄積が大きいと、その株式の相続税評価額が高くなり、それに連動して、相続税も高くなるからです。
相続税が高いということは、後継者が株式を相続で取得するのが大変、ということになります。
後継者が会社の株式をできるだけ負担なく、そして、スムーズに引き継ぐことにより、会社の経営支配権を承継し、会社を守っていくためには、生前に株価を引き下げ、贈与により移転することが有効です。
非上場株式の株価評価要素
非上場株式は、原則として、「類似業種比準価額」と「純資産価額」を一定の割合でミックスして計算します(特例的な評価額として、「配当還元価額」があります)。
非上場株式の株価の引き下げを考える場合、
類似業種比準価額を引き下げる
ミックスする割合を変える
純資産価額とは?
純資産価額とは、一言で言うと、その会社の「清算価値」です。
ザックリ言うと、その会社が仮に解散したとした場合に、その会社の株主に分配される金額です。
所有する資産をお金に換えて、それを元に負債の支払いをしたら、いくら残るか、という感じです。
つまり、会社の正味財産の金額です。
純資産価額は、各資産・負債の「相続税評価額」と「帳簿価額」をベースに計算します。
不良債権処理による純資産価額の引き下げ
いわゆる「不良債権」について、「会計上のけじめ」をつけましょう。
回収できるかどうか分からない、というような債権を放置せず、貸倒処理するなり、取り立てを強化しましょう。
財産評価基本通達(一部抜粋)
205 貸付金債権等の元本価額の範囲
前項の定めにより貸付金債権等の評価を行う場合において、その債権金額の全部又は一部が、課税時期において次に掲げる金額に該当するときその他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときにおいては、それらの金額は元本の価額に算入しない。
上記にあるように、債権のうち、回収不可能な部分は、「相続税評価額」を計算する上では控除することができます。
しかし、「帳簿価額」を計算する上では控除できません。
ですから、きちんと会計上(帳簿上)において不良債権を処理しましょう。
想う相続税理士