相続税専門税理士の富山です。
今回は、遺言があった場合の、亡くなった方の財産の行方について、お話します。
遺言があれば原則は遺言のとおりになる
贈与であれば、その財産を持っている方(贈与者)が好きなように財産を分けることができます(自分の財産ですから)。
財産を贈与で渡さなければ、基本的には、財産を相続で渡すことになります。
しかし、相続の場合には、もうその財産を持っている方は亡くなってしまっているワケですから、その財産を誰々に渡す(財産の取得者を指定する)ことはできません(亡くなっているので意思表示できません。自分の財産なのに)。
ただし、意思表示できる「亡くなる前」であればできます。
そうです、それが遺言です。
遺言があれば、その財産を持っている方の財産の行き先を決めることができます。
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相続人には遺留分がある
また、遺言があった場合でも、「遺留分」(相続人に認められた最低限の財産の取り分。ない相続人もいます)を請求されることがあります。
具体的には「遺留分侵害額の請求」です。
「遺言により財産がもらえないことになっていた相続人の方」も、「遺留分」相当の「額」(お金)を、「遺言で財産をもらう方」から受け取ることができます。
つまり、実質的には、遺言どおりにはならない(遺言により財産がもらえないことになっていた相続人の方のところにも一定の財産が渡される)ということになります。
遺留分は一定期間中に請求しないとダメ
ただし、遺留分侵害額の請求には期限があり、その期限は、相続の開始(財産を持っている方の死亡)や遺留分の侵害(相続人の方が遺留分に達するまで財産をもらっていないこと)を知ってから1年以内です。
つまり、この1年を経過すると、財産の行方は遺言どおりになります(相続人の方や遺言で財産をもらう方が全員反対しない限り)。
金を払えば財産を守れる
また、先ほど「『遺留分』相当の『額』(お金)」と言いました。
財産は渡さなくていいのです(お金は渡さないとダメですが)。
例えば、安定的な会社経営のため(会社を守るため)、長男に会社の株を全株相続させる、という遺言を作成したとします。
そして、次男から長男に遺留分侵害額の請求があったとします。
そうすると、「次男には遺留分があるから、次男にも会社の株式が渡ってしまうのか」と思われるかもしれませんが、「『遺留分』相当の『額』(お金)」を渡せばいいので、長男は次男に会社の株式を渡す必要はありません(お金は渡さないとダメです)。
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