相続税専門税理士の富山です。
今回は、特別養護老人ホーム等に入所していた方がお亡くなりになった場合に、その方のご自宅に親族がお住まいになっている(なっていた)場合に、そのご自宅敷地が特定居住用宅地等として、小規模宅地等の特例の適用の対象になり得るか、ということについて、お話します。
国税庁のHPに載っているのは空家のケース
参考 老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例(平成26年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する場合の取扱い)国税庁HP上記のページには、亡くなった方の生活の拠点が、ご自宅から特別養護老人ホームに移行していても、それは介護等を必要としていることによるやむを得ないモノである、ということから、住んでいないご自宅の敷地でも特定居住用宅地等として(生活の拠点として)小規模宅地等の特例の適用対象となり得る、ということが書かれています。
想う相続税理士秘書
このケースでは、亡くなった方が特別養護老人ホームに入所した後、そのご自宅は空家になっていた、という前提になっています。
では、空家でない場合には、どうなんでしょうか(特例の適用対象となり得るのでしょうか)?
住んでいてはいけない方がいる
租税特別措置法(一部抜粋加工)
第69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
居住の用(居住の用に供することができない事由として政令で定める事由により相続の開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていなかつた場合(政令で定める用途に供されている場合を除く。)における当該事由により居住の用に供されなくなる直前の当該被相続人の居住の用を含む。同項第2号において同じ。)に供されていた宅地等
上記の「政令で定める用途」は、下記のとおりです。
租税特別措置法施行令(一部抜粋加工)
第40条の2 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
3 法第69条の4第1項に規定する政令で定める用途は、同項に規定する事業の用又は同項に規定する被相続人等(被相続人と前項各号の入居又は入所の直前において生計を一にし、かつ、同条第1項の建物に引き続き居住している当該被相続人の親族を含む。)以外の者の居住の用とする。
- 被相続人等
- 被相続人と前項各号の入居又は入所の直前において生計を一にし、かつ、同条第1項の建物に引き続き居住している当該被相続人の親族
上記①②「以外の者」を「除く」ので、①②以外の方がご自宅に住んでいたらアウトです。
①は、
租税特別措置法(一部抜粋加工)
第69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
被相続人又は当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族(第3項において「被相続人等」という。)
つまり、「亡くなった方または亡くなった方の生計一親族」です。
②は、
「入所の直前において亡くなった方の生計一親族」であり、かつ、「引き続きご自宅に住んでいる親族」
です。
想う相続税理士