相続税専門税理士の富山です。
今回は、令和5年度税制改正による暦年課税贈与の改正の影響について、お話します。
生前贈与加算の確率を減らすなら令和5年中の贈与
相続が発生し、その相続で財産を取得した方は、その亡くなった方から相続開始前3年以内に贈与により財産を取得していた場合、相続で取得した財産だけでなく、その贈与財産にも相続税が課税されます(「生前贈与加算」と言います)。
この「3年以内」が、令和6年以降の贈与について、「7年以内」に改正されます。
令和5年贈与は改正前なので3年以内加算のみ
税制改正適用前期間である令和5年10月末に贈与を受け、その後、その贈与を受けた方が令和X年の9月末にお亡くなりになり、その亡くなった方から相続で財産を取得した場合、そのX年がいつかによって、生前贈与加算にどのように違いが出るかについて、見てみます。
【X=6】令和6年9月30日に相続が発生・・・上記贈与が11ヶ月前(つまり相続開始前3年以内)に該当し、生前贈与加算の対象
【X=7】令和7年9月30日に相続が発生・・・上記贈与が1年11ヶ月前(つまり相続開始前3年以内)に該当し、生前贈与加算の対象
【X=8】令和8年9月30日に相続が発生・・・上記贈与が2年11ヶ月前(つまり相続開始前3年以内)に該当し、生前贈与加算の対象
【X=9】令和9年9月30日に相続が発生・・・上記贈与が3年11ヶ月前(つまり相続開始前3年超)に該当し、生前贈与加算の対象外
令和6年以降贈与は改正後なので途中から加算期間が延びる
次に、税制改正適用後期間である令和6年10月末に贈与を受け、その後、その贈与を受けた方が令和X年の9月末にお亡くなりになり、その亡くなった方から相続で財産を取得した場合、そのX年がいつかによって、生前贈与加算にどのように違いが出るかについて、見てみます。
【X=7】令和7年9月30日に相続が発生・・・上記贈与が11ヶ月前(つまり相続開始前3年以内)に該当し、生前贈与加算の対象
【X=8】令和8年9月30日に相続が発生・・・上記贈与が1年11ヶ月前(つまり相続開始前3年以内)に該当し、生前贈与加算の対象
【X=9】令和9年9月30日に相続が発生・・・上記贈与が2年11ヶ月前(つまり相続開始前3年9ヶ月以内)に該当し、生前贈与加算の対象
【X=10】令和10年9月30日に相続が発生・・・上記贈与が3年11ヶ月前(つまり相続開始前4年9ヶ月以内)に該当し、生前贈与加算の対象
【X=11】令和11年9月30日に相続が発生・・・上記贈与が4年11ヶ月前(つまり相続開始前5年9ヶ月以内)に該当し、生前贈与加算の対象
【X=12】令和12年9月30日に相続が発生・・・上記贈与が5年11ヶ月前(つまり相続開始前6年9ヶ月以内)に該当し、生前贈与加算の対象
【X=13】令和13年9月30日に相続が発生・・・上記贈与が6年11ヶ月前(つまり相続開始前7年以内)に該当し、生前贈与加算の対象
【X=14】令和14年9月30日に相続が発生・・・上記贈与が7年11ヶ月前(つまり相続開始前7年超)に該当し、生前贈与加算の対象外
「7年以内」に延びる、と言っても、税制改正適用前期間である令和5年以前の贈与を加算することはできません。
ザックリお話すると、
令和9年相続は、令和9年・令和8年・令和7年・令和6年の4年間(これ以上さかのぼると、税制改正適用前期間である令和5年に入ってしまうので、加算対象期間は令和6年まででストップ)
ということで、相続税の申告において、加算方法(加算対象期間)が変わるのは、令和9年以降の相続分から、ということになります。
想う相続税理士秘書
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