相続税専門税理士の富山です。
今回は、来年から改正される相続時精算課税制度について、お話します。
どんな人でも相続時精算課税を選択した方がトク?
来年から相続時精算課税にも110万円の基礎控除(A)が設けられます。
暦年課税贈与にも110万円の基礎控除(B)がありますが、Bは、受贈者(財産をもらった方)が贈与者(財産をくれる方)の相続の際に財産を取得すると、最長で過去7年分の贈与について、その基礎控除の部分も含めて相続税が課税されます(「生前贈与加算」と言います)。
それに対して、Aには、受贈者が贈与者の相続の際に財産を取得しても、相続税が課税されません。
そう聞くと、「贈与税も相続税も必ず非課税になる基礎控除A」がある相続時精算課税の方が有利に思われるかもしれませんが、基礎控除を超えた部分の取扱いに留意する必要があります。
基礎控除を超えた部分に対する税負担に違いが出る
相続時精算課税を選択した場合には、基礎控除の110万円を超える部分が、必ず相続税の課税対象となります(相続時に相続税が課税されて精算されます。だから「相続時精算課税」)。
つまり、相続税の実効税率による税負担により課税されます。
それに対して、暦年課税贈与の場合には、生前贈与加算の対象にならなければ、相続税の課税対象にならず、(生前贈与加算がないものとすると)贈与税の課税対象として贈与税の実効税率による税負担により課税されます。
相続税の節税ができる方とは?
贈与財産の金額が高くなればなるほど、暦年課税の贈与税も高くなるのですが、逆に言うと、贈与財産の金額を調整することにより、贈与税の金額をコントロールすることができます。
相続税の税負担が高い方(例えば実効税率30%)は、それより低い税負担(例えば実効税率20%)になるような暦年課税の贈与をすることで、相続税の節税につなげられる可能性があります。
逆に言うと、相続税の税負担が低い方(例えば実効税率5%)は、相続税の税負担より低い税負担で暦年課税の贈与をしようとすると、金額的にあまり大きな贈与ができません。
本当に贈与税を払いたくないのであれば、110万円の基礎控除内でやることになります。
そうなると、相続時精算課税の贈与でも同じですし、絶対に生前贈与加算の対象にならない非課税枠がある、という点では、相続時精算課税の贈与の方が有利になります。
想う相続税理士