【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

暦年課税贈与が来年から改正されるとどうなる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、暦年課税贈与に関して、来年から改正されるポイントについて、お話します。


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改正前(現時点)の暦年課税贈与と相続税の関係

相続時精算課税を選択しなければ暦年課税

改正前(現時点)の相続時精算課税制度の要件と贈与税の計算方法

贈与により財産を取得した方は、上記の記事でもお話したとおり、一定の要件に該当し、相続時精算課税選択届出書を提出した場合には、その贈与により取得した財産に係る贈与税・相続税の計算につき、相続時精算課税の適用を受けることになりますが、その届出書を提出しなければ、暦年課税の適用を受けることになります。

そして、その暦年課税には110万円の基礎控除があるため、もらった財産の金額が年間110万円以下であれば、贈与税はかかりません。

贈与税がかからなくても相続税がかかる場合がある

3年以内の贈与は相続税の申告をすればOK?

上記の記事でもお話しましたが、「亡くなった時に財産を持っていると相続税がかかってしまうのなら、相続税がかからないように亡くなる前に財産を贈与してしまえ」という租税回避行為を防止するため、生前贈与をしても、

  1. その贈与日が贈与者の死亡日前3年以内(相続開始前3年以内)である
  2. 受贈者が贈与者の相続において遺産分割協議や遺言等で財産を取得している
等の一定の要件に該当する場合には、その贈与財産に対しても相続税が課税されます。

想う相続税理士

ザックリ言うと、贈与税が非課税だからと言って、毎年110万円ずつ贈与を受けていても、最後の3年間にもらった財産には、贈与税はかからなくても相続税がかかるのです。

相続税法(一部抜粋加工)
第19条 相続開始前3年以内に贈与があつた場合の相続税額
相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前3年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、当該贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなし、第15条から前条までの規定を適用して算出した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。

改正後の暦年課税贈与と相続税の関係

生前贈与加算の対象期間は3年から7年に延長

上記において、「相続で財産を取得した方が、亡くなった方から死亡日前3年以内に贈与により取得した財産は、相続税の課税対象になる」とお話しましたが、この「3年以内」「7年以内」に延長されます。

上記の相続税法第19条の出だしも、下記のように変更されます。

想う相続税理士秘書

相続税法(令和6年1月1日施行部分・一部抜粋加工)
第19条 相続開始前7年以内に贈与があつた場合の相続税額
相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前7年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、

延長される4年間は総額100万円までは加算対象外

ザックリ言うと、毎年110万円ずつ贈与を受けている場合、加算対象期間が7年になると、110万円×7年=770万円が相続税の課税対象になりますが、最初の4年分(110万円×4年=440万円)のうち100万円については、加算対象から除外するため、
770万円△100万円=670万円
が相続税の課税対象となります。

想う相続税理士

令和6年相続から加算対象期間が7年になるかというと、そうではなく、令和9年相続から、この加算対象期間の延長の改正の影響を受けることになります。

だからまだ先の話か、というと、そうではなく、令和9年から令和12年の間に相続があった場合には、令和6年中の贈与が相続税の計算に影響を及ぼす可能性がある、ということですので、ご注意を。

贈与者の相続開始日 加算対象期間
~R8.12.31 相続開始前3年間
R9.1.1~R12.12.31 R6.1.1~相続開始日
R13.1.1~ 相続開始前7年間