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相続時精算課税制度に創設される基礎控除額の規定ぶり

相続税専門税理士の富山です。

今回は、来年から改正される相続時精算課税制度において、新たに創設される「基礎控除額」が、法律の条文においてどのように規定されているか、ということについて、お話します。

下記の記事もご覧ください。

想う相続税理士秘書

改正前(現時点)の相続時精算課税制度の要件と贈与税の計算方法 改正前(現時点)の相続時精算課税適用財産の相続時の取扱い 改正前(現時点)の相続時精算課税と債務控除・3年以内贈与加算・贈与税還付の関係 相続時精算課税制度に創設される基礎控除額はなぜオイシイ?

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相続時精算課税の特別控除額とは違う

改正前(現時点)の相続時精算課税制度の要件と贈与税の計算方法 上記の記事でお話しましたが、相続時精算課税には2,500万円の「特別控除額」というモノがあります。

相続税法(一部抜粋加工)
第21条の12 相続時精算課税に係る贈与税の特別控除
相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格からそれぞれ次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除する。
一 2,500万円(既にこの条の規定の適用を受けて控除した金額がある場合には、その金額の合計額を控除した残額)
二 特定贈与者ごとの贈与税の課税価格

相続時精算課税の基礎控除額は、これとは違います。

相続時精算課税の贈与税の基礎控除額は相続税法上は60万円

まず、相続時精算課税に係る基礎控除についての条文を見てみます。

相続税法(令和6年1月1日施行部分・一部抜粋加工)
第21条の11の2 相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除
相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、贈与税の課税価格から60万円を控除する
2 前項の相続時精算課税適用者に係る特定贈与者が2人以上ある場合における各特定贈与者から贈与により取得した財産に係る課税価格から控除する金額の計算については、政令で定める。

上記の条文を見ると、ご存知の方は「基礎控除額が60万円?暦年課税と同じ110万円じゃないの?」とビックリされるかもしれません。

相続時精算課税の贈与税の基礎控除額は措置法で110万円になっている

相続税法上は60万円なのですが、それが租税特別措置法で110万円になっています。

租税特別措置法(令和6年1月1日施行部分・一部抜粋加工)
第70条の3の2 相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除の特例
令和6年1月1日以後に相続税法第21条の9第5項に規定する相続時精算課税適用者(第3項において「相続時精算課税適用者」という。)がその年中において同条第5項に規定する特定贈与者(第3項において「特定贈与者」という。)からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、同法第21条の11の2第1項の規定にかかわらず、贈与税の課税価格から110万円を控除する
2 前項の規定により控除された金額は、相続税法その他相続税又は贈与税に関する法令の規定の適用については、相続税法第21条の11の2第1項の規定により控除されたものとみなす。
3 第1項の相続時精算課税適用者に係る特定贈与者が2人以上ある場合における各特定贈与者から贈与により取得した財産に係る課税価格から控除する金額の計算については、政令で定める。

想う相続税理士

暦年課税の基礎控除額についても同様(相続税法60万円→措置法110万円)です。