相続税専門税理士の富山です。
今回は、生命保険契約の保険料を負担していない契約者が死亡した場合や、生命保険契約に関する権利を相続した後、被保険者が死亡した場合の課税関係について、お話します。
想う相続税理士秘書
生命保険契約の保険料を負担していない契約者が死亡した場合
生命保険契約の保険金受取人や保険料負担者が先に死亡した場合上記の記事では、下記のような生命保険契約がある場合で、夫が亡くなった場合についてのお話をしましたが、夫ではなく、妻が亡くなった場合には、どうなるでしょうか?
保険料負担者:夫
被保険者:妻
保険金受取人:夫
この場合には、相続税の課税はありません。
相続税法基本通達(一部抜粋)
3-36 被保険者でない保険契約者が死亡した場合
被保険者でない保険契約者が死亡した場合における生命保険契約に関する権利についての取扱いは、次に掲げるところによるものとする。
(2) その者が当該契約による保険料を負担していない場合(法第3条第1項第3号の規定により、相続又は遺贈によって保険契約に関する権利を取得したものとみなされる場合を除く。)には、課税しないものとすること。
生命保険契約に関する権利を相続した後に被保険者が死亡した場合
死亡保険金を受け取って、相続税が課税されるのは、その保険料を亡くなった方が負担していた場合です。
もっと突っ込んで言うと、死亡保険金のうち、その保険料を亡くなった方が負担していた部分に対応する部分のみです。
生命保険契約の保険金受取人や保険料負担者が先に死亡した場合上記の記事で、妻が生命保険契約に関する権利を相続したら、その生命保険契約に係る過去に払い込んだ保険料は妻が負担したと考える、とお話しました。
下記のように、この生命保険契約に係る被保険者が妻以外で、保険金受取人が妻だとすると、
保険料負担者:妻(元は夫だが相続したのでこう考える)
被保険者:子
保険金受取人:妻
被保険者が死亡した場合の死亡保険金は、相続税の課税対象とはなりません。
自分が保険料を負担した(と考えます)ので、自分がお金を出して、自分が保険金をもらっています(もらっていると考えます)。
つまり、この場合の死亡保険金は、所得税の課税対象(一時所得)となります。
相続税法基本通達(一部抜粋)
3-38 保険金受取人が取得した保険金で課税関係の生じない場合
保険金受取人の取得した保険金の額のうち、法第3条第1項第3号の規定により当該保険金受取人が相続又は遺贈により取得したものとみなされた部分に対応する金額又は自己の負担した保険料の金額に対応する部分の金額については、相続又は遺贈によって取得する財産とはならないのであるから留意する。
想う相続税理士