【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

代襲相続人が相続放棄をしたら相続税額の2割加算の対象

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税額の2割加算の対象者について、お話します。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


相続税が2割増し課税される方がいる

相続税は、ザックリ言うと、全財産に対する相続税(相続税の総額)を計算し、それを財産の取得割合で按分します。

父Aさん死亡による相続税の総額が1,000万円で、長男Bさん・二男Cさんが財産を40%・60%の割合で取得した場合、各相続人の相続税は、

Bさん:1,000万円×40%=400万円
Cさん:1,000万円×60%=600万円
となります。

このように計算した後、その相続税を2割増しで計算しなければならない方がいます。

相続税法(一部抜粋)
第18条 相続税額の加算
相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続又は遺贈に係る被相続人の一親等の血族(当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつた当該被相続人の直系卑属を含む。)及び配偶者以外の者である場合においては、その者に係る相続税額は、前条の規定にかかわらず、同条の規定により算出した金額にその100分の20に相当する金額を加算した金額とする。
2 前項の一親等の血族には、同項の被相続人の直系卑属が当該被相続人の養子となつている場合を含まないものとする。ただし、当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつている場合は、この限りでない。

相続税の2割加算の対象者の具体例

相続税の2割増し計算(相続税額の2割加算)は、

  1. 亡くなった方から相続で財産を取得した方で、亡くなった方の配偶者、父母、子ではない方(例:亡くなった方の兄弟姉妹や、おい、めいとして相続人となった方)
  2. 亡くなった方の養子として相続人となった方で、その亡くなった方の孫でもある方のうち、代襲相続人にはなっていない方
が対象となります。

「代襲相続人」とは、今回の相続が発生する前に、本来、相続人となるハズであった方が死亡していた場合に、その方の代わりに相続人となる方です。

想う相続税理士秘書

代襲相続人の孫が相続放棄をした場合はどうなる?

亡くなった父Aさん(奥様は既に他界)には、長男Bさん・二男Cさんがいらっしゃったのですが、長男Bさんが父Aさんよりも先に亡くなっていて、長男Bさんには、子が一人(Dさん・父Aさんから見れば孫)がいらっしゃったとします。

遺言がなければ、父Aさんの相続財産は、二男Cさんと孫Dさんで遺産分割協議(遺産分けの話し合い)をする必要があります。

この場合、孫Dさんが相続放棄をすると、父Aさんの相続財産は、全部、二男Cさんが取得することになります。

孫Dさんは、相続放棄をしても、生命保険金を受け取ることができます。

生命保険金は、遺産分割協議の対象外だからです。

この孫Dさんの相続税は、2割加算の対象になるでしょうか?

相続放棄をしなければ、2割加算の対象にはなりません。

上記の相続税法第18条の「当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつた当該被相続人の直系卑属を含む。」に該当するからです。

それでは、相続放棄をした場合にはどうなるでしょうか?

(相続の放棄の効力)
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

相続人ではないので、上記の該当はありません。

そこで、通常の「一親等の血族及び配偶者かどうか」で判断します。

孫は二親等の血族(一親等の血族ではないし配偶者でもない)なので、2割加算の対象となります。

想う相続税理士

相続放棄をすると、相続税が高くなってしまう場合がありますので、ご注意を(この場合、孫Dは相続放棄をすることにより、死亡保険金の非課税枠も適用できなくなってしまいます)。