相続税専門税理士の富山です。
今回は、非上場株式を評価する場合における従業員数基準について、お話します。
従業員数は非上場株式の評価額に影響する
従業員数は非上場会社(同族会社)の株式の評価額に影響する上記の記事でもお話したとおり、非上場株式の評価額を計算する場合には、その評価対象法人の「従業員数」も評価に影響を及ぼします。
従業員数はどうやってカウントする?
では、その従業員数はどうやってカウントするのでしょうか?
直前期末の従業員数をカウントすればいいかというと、そうではありません。
この従業員数については、次のように規定されています。
財産評価基本通達(一部抜粋)
178 取引相場のない株式の評価上の区分
「従業員数」は、直前期末以前1年間においてその期間継続して評価会社に勤務していた従業員(就業規則等で定められた1週間当たりの労働時間が30時間未満である従業員を除く。以下この項において「継続勤務従業員」という。)の数に、直前期末以前1年間において評価会社に勤務していた従業員(継続勤務従業員を除く。)のその1年間における労働時間の合計時間数を従業員1人当たり年間平均労働時間数で除して求めた数を加算した数とする。
この場合における従業員1人当たり年間平均労働時間数は、1,800時間とする。
これをまとめると、下記のようになります。
従業員数=継続勤務従業員(A)の数+(A)以外の従業員の労働時間の合計時間数/1,800時間
ポイントをまとめてみます。
- 継続勤務従業員は、直前期末中に入社したり退社したりした人は該当しない、また、正社員ではなくてもOK
- 「直前期末以前1年間において評価会社に勤務していた従業員」なので、直前期末に在籍していない従業員についても労働時間のカウントの対象となる
従業員の範囲は?
そもそも、「従業員」というのは誰のことでしょうか?
会社で働いている人の数をカウントすればいいかというと、そうではありません。
ポイントをまとめてみます。
- 従業員には、
- 社長、理事長
- 代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
- 副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
- 取締役(指名委員会等設置会社の取締役及び監査等委員である取締役に限る)、会計参与及び監査役並びに監事
は含まない
- 従業員には、法人税法上の
- 使用人兼務役員
- みなし役員
は含まれる
- 従業員は、原則として、評価会社との雇用契約に基づき使用される個人で賃金が支払われる者をいうので、例えば、出向元との雇用関係が解消され、出向先で雇用されている出向者の場合には、出向先の従業員としてカウントする
- 人材派遣会社より派遣されている者は、派遣元事業所の従業員としてカウントする
- 従業員とは、評価会社において使用される個人(評価会社内の使用者の指揮命令を受けて労働に従事するという実態をもつ個人をいう)で、評価会社から賃金を支払われる者(無償の奉仕作業に従事している者以外の者をいう)をいうが、現在における労働力の確保は、リストラ、人件費などの管理コスト削減のため、正社員の雇用のみで対応するのではなく、臨時、パートタイマー、アルバイターの採用など多様化しており、派遣労働者の受入れもその一環であると認められ、実質的に派遣先における従業員と認めても差し支えないと考えられること等から、派遣労働者を受け入れている評価会社における従業員数基準の適用については、受け入れた派遣労働者の勤務実態に応じて継続勤務従業員とそれ以外の従業員に区分した上で判定しても差し支えない
想う相続税理士
人数や「純資産価額(帳簿価額)」・「取引金額」との上位下位の関係の組み合わせによっては、評価に影響を及ぼさない場合もあります。