相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続における土地の分割取得について、お話します。
相続後でもできる相続税対策
1つの大きな土地を、1人の相続人が相続するよりも、土地を分筆して複数の相続人が分割取得した方が、相続税が安くなる場合がある
それは、路線価の影響を変えられるような場合
例えば、路線価地域に大きな2本の道が南北に走っていて、その道に挟まれるように1つの土地がある場合、その土地は、1人の相続人が相続すると、その2本の土地の路線価をベースに評価される
具体的には、ザックリ言うと(土地の東側か西側の)どちらかの道を正面路線、もう片方の道を二方路線(裏面の路線)とし、二方路線の路線価に二方路線影響加算率を乗じた金額を正面路線の路線価に加算して路線価を計算する
2本の道に接していることにより、1本の道に接している土地よりも評価額が高くなる
もし、相続人の長男・次男が、この土地を南北に分筆して、東側・西側それぞれの土地を分割取得すると、長男が取得した東側の土地は、東側の道1本にしか接していないので、その1本の路線価で評価すればよく、次男が取得した西側の土地も同様に、西側の道の路線価だけで評価すればよくなる
2本の道に挟まれているような土地ではなく、2本の道の角にあるような土地も同様のことができる
分割取得しない方が土地の評価が下がる場合がある
ただし、分割取得せず、大きな土地のまま1人の相続人が全体を相続した方が、複数の相続人が分割取得するよりも、評価額が下がる場合がある
それは、「地積規模の大きな宅地の評価」が適用できる場合である
三大都市圏なら500㎡以上の土地、三大都市圏以外の地域なら1,000㎡以上の土地であれば、適用の可能性がある
これが適用できれば、最低でも評価額が20%下がる
分割取得することにより、上記の面積要件を満たさない土地にしてしまうと、相続税が高くなる可能性がある
不合理な土地の分割は認められない
分割取得により評価額の引き下げを「やり過ぎ」ているような場合には、分割前の土地の形で評価をすることになってしまうので注意
やり過ぎとはどういうことかというと、今までお話してきたように、土地が道に接することにより、その道に設定された路線価の影響を受けて、土地の評価が高くなる
そこで、分割取得により、道に接しない「無道路地」にしたり、土地の形を悪くしたりして「不整形地補正率」等の各種補正率の影響を受けるようにすることで、土地の評価を下げることが考えられる
ワザと土地が有効に利用されない、通常の用途に使用できないような形で分割するのである
その後の土地の利用を考えた際には「不合理と考えられるような分割」である
複数の相続人で分割する際に、ワザと接道しないような土地を作り出したり、土地の形を悪くしたりしたら、土地の価値が下がってしまいそうだが、各土地の取得者が相続人なのだから、結局親族で全体を所有していることになり、全体で一体利用できるし、一体処分もできる、つまり、実態としては土地の価値は下がらない
つまり、見せかけだけの価値のない土地なので、このような場合には、分割前の土地の形をベースに評価する
想う相続税理士