相続税専門税理士の富山です。
今回は、土地を路線価方式により評価する場合の、正面路線の判定の特殊なパターンについて、お話します。
前と横の2つの道に接している土地はどう評価する?
路線価地域にある土地は、「路線価」を1㎡当たりの単価と考えて評価します。
評価対象地の前にしか、路線価が付された道がないのであれば、その道の路線価で評価すればOKです。
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例えば、「路線価10万円の道に面している100㎡の土地(A)」であれば、10万円×100㎡=1,000万円となります。
では、土地の前と横に路線価が付された道がある場合、どのように評価するのでしょうか。
例えば、「前が路線価10万円の道に面していて、横が路線価5万円の道に面している100㎡の土地(B)」のような場合です。
このような場合、10万円と5万円で高い方の路線価である路線価10万円を元に計算する、というワケではありません。
そんな計算をしたら、土地Bの方が出入りできる道が多い(横からも土地に出入りできる)のに、土地Aと同じ評価になってしまいます。
それでは、10万円と5万円を合計して、路線価15万円として評価するのでしょうか?
そんな計算をしたら、同じ100㎡の土地で、メインで出入りする道の路線価が10万円で同じなのに(通常、大きな道の方が路線価が高くなります)、土地Aに比べて土地Bの評価が1.5倍になってしまいます。
正面路線というメインの道を決める
このような場合、路線価10万円の道と路線価5万円の道のどちらかを「正面路線(メイン)」とし、もう一方の道を「側方路線(サブ)」とします。
そして、5万円をちょっと減額してから10万円に加算します。
例えば、その土地が普通住宅地区の十字路の角にあるような土地の場合、
100,000円(正面路線価)+50,000円(側方路線価)×0.03(側方路線影響加算率)=101,500円
をベースに評価します。
つまり、3%だけ加算するのです。
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路線価10万円の道と路線価5万円の道のどちらをメイン(正面路線)にするかによって、土地の評価額は大きく変わります。
どちらをメインにするかですが、原則として、「路線価に『奥行価格補正率』を掛けた後の金額」が最も高い路線を「正面路線」にします。
路線価が高くても、その路線から奥に長いような土地の場合には、奥行価格補正率の影響を受けて、正面路線にならない場合があります。
高い路線価の道の影響(恩恵)を受けていないような土地はどうする?
最初の図のような土地の場合、路線価10万円の道を正面として評価するのはどうでしょうか?
確かに路線価10万円の道に接してはいますが、その路線価10万円の道にはちょっとしか(1mしか)接していません。。
家を建てる場合の接道義務を満たさないようなレベルです。
路線価10万円の道に接していても、それだけの価値はないですよね。
このような場合には、路線価5万円の道を正面路線として評価することができます。
想う相続税理士