相続税専門税理士の富山です。
今回は、特定非常災害による被害があった場合の相続税申告における特例的な取扱いについて、お話します。
特定土地等・・・特定非常災害により被災者生活再建支援法第3条第1項の規定の適用を受ける地域(同項の規定の適用がない場合には、その特定非常災害により相当な損害を受けた地域として財務大臣が指定する地域(「特定地域」))内にある土地または土地の上に存する権利
特定株式等・・・特定地域内にあった動産(金銭および有価証券を除く)、不動産、不動産の上に存する権利および立木の価額の合計額が保有資産の合計額の10分の3以上である法人の株式等(上場株式等を除く)
動産等・・・動産(金銭および有価証券を除く)、不動産(土地および土地の上に存する権利を除く)および立木
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特定非常災害発生日「前」に取得した特定土地等
特定非常災害発生日前に相続で取得した特定土地等で、その特定非常災害発生日において所有していたものは、相続開始時の評価額ではなく、「特定非常災害の発生直後の価額」によることができます。
特定土地等の特定非常災害の発生直後の価額については、国税局長(沖縄国税事務所長を含む)が「調整率」を別途定めている場合には、特定非常災害発生日の属する年分の路線価または評価倍率に調整率を乗じて計算することができます。
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特定非常災害発生日「前」に取得した特定株式等
上記の特定土地等と同様、「特定非常災害の発生直後の価額」によることができます。
特定非常災害発生日「以後」に取得した特定土地等
特定非常災害発生日以後同日の属する年の12月31日までの間に相続または遺贈により取得した特定土地等の価額は、「特定非常災害の発生直後の価額」に「準じて」評価することができます。
その土地が、特定非常災害により物理的な損失(地割れ等土地そのものの形状が変わったことによる損失)を受けた場合には、「特定非常災害の発生直後の価額」に準じて評価した価額から、その原状回復費用相当額を控除した価額により評価することができます。
特定非常災害発生日「以後」に取得した特定株式等
上記の特定土地等と同様、「特定非常災害の発生直後の価額」に「準じて」評価することができます。
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災害減免法による減免措置
相続で取得した財産が、災害によって被害を受けた場合において、次の①または②のいずれかに該当するときには、相続税が減免されます。
- 相続税の課税価格の計算の基礎となった財産の価額(債務控除後の価額)のうちに被害を受けた部分の価額(保険金、損害賠償金等により補てんされた金額を除きます。)の占める割合が10分の1以上であること
- 相続税の課税価格の計算の基礎となった動産等(注)の価額のうちにその動産等について被害を受けた部分の価額(保険金、損害賠償金等により補てんされた金額を除きます。)の占める割合が10分の1以上であること
法定申告期限前に災害があった場合
法定申告期限前に災害があった場合は、相続で取得した財産の価額から、被害を受けた部分で、保険金、損害賠償金等で補てんされなかった部分の価額を控除して課税価格を計算します。
この特例を適用を受けるためには、相続税の申告書に、被害の状況や被害額等を記載した相続税等の財産の価額の計算明細書を添付し、原則として申告期限内に提出する必要があります。
法定申告期限後に災害があった場合
法定申告期限後に災害があった場合は、災害のあった日以後に納付すべき相続税額で、その課税価格の計算の基礎となった財産の価額のうち、被害を受けた部分で、保険金、損害賠償金等で補てんされなかった部分の価額に対応する金額が免除されます。
ただし、災害があった日以後に納付すべき相続税額には、延滞税等の附帯税や災害があった日現在において滞納中の税額は含まれません。
なお、免除を受けるためには、相続税の免除承認申請書に、被害の状況や被害額等を記載し、災害のやんだ日から2ヶ月以内に、納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
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