配偶者が遺産分けが決まる前に亡くなった場合
配偶者の方は、亡くなった方の財産形成上の最大の貢献者であると考えられるため、相続税の申告には、「配偶者の税額軽減」という特例があり、配偶者の方が取得した相続財産については、
- 財産のうち配偶者の法定相続分(お子さんがいる場合には1/2)相当額
- 1億6,000万円
つまり、「最低でも1億6,000万円」の非課税枠がある
この特例の適用対象となるのは、配偶者が取得する、と決まった財産
遺産分けが決まっていない場合には適用されない
相続人間における遺産分割協議が決まる前に配偶者が亡くなってしまった場合、配偶者は財産を取得できない
そうすると、同じ相続人に配偶者がいる相続において、配偶者が遺産分割協議が確定するまでご存命だったか、お亡くなりになったかで、最低1億6,000万円の非課税枠が適用できたり、できなかったりすることになり、課税の不公平が生じる
したがって、配偶者が亡くなった後に、残った相続人・代襲相続人による遺産分割協議により、配偶者が取得したモノとされた財産については、特例の対象として取扱う
贈与税の課税対象となる利益
相続税法
第9条(一部抜粋)
対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額を当該利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなす
相続税法上、「利益を受けた」場合には、贈与税の課税対象であると規定しているが、そのような利益でも、通達により、贈与税の課税対象ではない、と規定しているモノがある
相続税法基本通達
9-1 「利益を受けた」の意義
法第9条に規定する「利益を受けた」とは、おおむね利益を受けた者の財産の増加又は債務の減少があった場合等をいい、労務の提供等を受けたような場合は、これに含まないものとする。
タダ働きさせても贈与税の課税は受けない
相続税法基本通達
8-2 事業所得の総収入金額に算入される債務免除益
所得税法(昭和40年法律第33号)の規定により事業所得の総収入金額に算入される割引又は割戻しによる利益については、法第8条の規定は適用しないものとして取り扱うものとする。
所得税の課税対象となる利益は、贈与税の課税対象とはならない