【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

亡くなった方が保険料を負担していなければ死亡保険金に相続税は課税されない

相続税専門税理士の富山です。

今回は、死亡保険金の課税関係について、お話します。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


死亡保険金にかかる税金は3種類ある

死亡保険金の課税関係は3パターンあります。

  1. 亡くなった方が保険料を負担していた場合には相続税
  2. 亡くなった方以外の方が保険料を負担して、保険料負担者が保険金を受け取った場合には所得税
  3. 亡くなった方以外の方が保険料を負担して、保険料負担者以外の方が保険金を受け取った場合には贈与税
が課税されます。

父が亡くなり、父の死亡保険金が下りたケースでお話すると、

  1. 父が保険料を負担していた場合には相続税(受取人が長男なら長男に相続税課税)
  2. 長男が保険料を負担して長男が保険金を受け取った場合には所得税(長男に所得税課税)
  3. 母が保険料を負担して長男が保険金を受け取った場合には贈与税(母から長男への贈与で長男に贈与税課税)
となります。

保険料相当額のお金を贈与すれば相続税がかからない

上記にあるとおり、父が亡くなり、長男が保険金を受け取った場合でも、その生命保険契約に係る保険料を父が負担したのか、長男が負担したのかで、課税される税金が変わります。

死亡保険金を受け取っても、自分が保険料を負担したのであれば、相続税がかからないのです。

父が保険料を自分で負担せず、保険料相当額のお金を長男に贈与して、長男が保険料を負担すれば、その死亡保険金は上記の②に該当することになりますので、相続税がかかりません。

相続税がかからない代わりに所得税が課税されますが、「一時所得」となり、「50万円の特別控除額」を適用した後の残額をさらに「1/2」してから税金を計算するため、税負担が低くなる傾向があります。

想う相続税理士秘書

保険料の贈与が認めらなかった事例

出典:TAINS(F0-3-318)
請求人らが取得した生命保険金及び生命保険契約に関する権利について、被相続人Aから請求人らに対して保険料相当額の金員の贈与があったとは認められず、Aが保険料の全部を負担していたものであるから、相続税法3条の規定により相続税の課税財産となるとされた事例

請求人らが本件保険金を一時所得として所得税の申告をしている

自己の所得税の申告において本件保険契約の生命保険料控除の適用をしていない

上記の例で言うと、

長男は受け取った死亡保険金につき、所得税の確定申告をしている
父は自分の確定申告において、その生命保険契約について生命保険料控除を受けていない
のですが、その保険料は父が負担したものとして、その死亡保険金には相続税が課税される、とされました。

保険料支払の都度贈与されたものであれば、受贈者が成人に達した後は少なくとも保険料の支払の手続を請求人らが行うのが通常であるところ、本件相続の開始までに本件保険契約に係る保険料の支払の手続を請求人らが行ったことは一度もない

本件保険契約に係る保険料相当額の金員を贈与したかどうかが後々問題になることは明らかであるから、贈与事実があれば、贈与契約書を作成するなど贈与事実を証拠化するのが通常であるところ、請求人らと亡A間で、本件保険契約に係る保険料相当額の金員の贈与に関する贈与契約書は一度も作成されていない

多額の贈与を受ければ贈与税の申告を行うのが通常であるところ、請求人らは、本件保険契約に係る保険料相当額の金員について、贈与税の申告を平成15年分を含め一度も行っていない

本件相続の開始までは本件保険契約の証券を受領しておらず、本件保険契約に係る保険料の額、保険料払込期間及び保険期間などの保険契約の内容を知らなかった

想う相続税理士

保険料は振込ではなく、亡くなった方の預貯金口座から引き出されて支払われていましたが、所得税の課税パターンにしたいのであれば、その引き出されたお金がきちんと贈与されたことを明らかにできるようにしておく必要があります。