【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

市街化調整区域内にある雑種地を評価するポイント

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続財産の中に、市街化調整区域内に所在する雑種地がある場合の、その評価のポイントについて、お話します。


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雑種地とは?

不動産登記事務取扱手続準則(一部抜粋)
第68条 次の各号に掲げる地目は、当該各号に定める土地について定めるものとする。
(1) 田 (省略)
(2) 畑 (省略)
(3) 宅地 (省略)



(23) 雑種地 以上のいずれにも該当しない土地

「雑種地」とは、宅地でもない、農地でもない、山林でもない、様々な土地の地目(種類)のいずれにも該当しない土地です。

「状況が類似する付近の土地」の選択がポイント

財産評価基本通達(一部抜粋)
82 雑種地の評価
雑種地の価額は、原則として、その雑種地と状況が類似する付近の土地についてこの通達の定めるところにより評価した1平方メートル当たりの価額を基とし、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額によって評価する。
ただし、その雑種地の固定資産税評価額に、状況の類似する地域ごとに、その地域にある雑種地の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価することができるものとし、その倍率が定められている地域にある雑種地の価額は、その雑種地の固定資産税評価額にその倍率を乗じて計算した金額によって評価する。

上記後半の但し書きを見ると、
雑種地の固定資産税評価額×倍率
で評価する、と書かれています。

もし、雑種地の倍率があれば、そのように評価して終わりです。

しかし、倍率表で雑種地の倍率なんて見たことがありません。

ですから、通常は上記条文の前半部分で評価することになります。

この出だしの「その雑種地と状況が類似する付近の土地」の判断が重要なポイントとなります。

この類似する付近の土地の地目をベースに評価するからです(ベースによって評価額は大きく変動します)。

「雑種地」は、「様々な土地の地目(種類)のいずれにも該当しない土地」ですから、その土地の様態は様々です。

その雑種地が、何に「似ているか」(類似するか)を的確に判断する必要があります。

宅地じゃないけど宅地に似ているのであれば、宅地ベースで評価して、でも、実際にはその宅地ほどの価値はないから、その宅地ベースの評価額に、宅地じゃないという減額要素を織り込んで雑種地としての評価額を算出する、という感じになります。

評価に織り込む(しんしゃくする)法的規制の影響度合いの判断がポイント

その雑種地を「宅地に似ている」として評価する場合、注意すべきポイントがあります。

都市計画法
(区域区分)
第七条 都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、市街化区域と市街化調整区域との区分(以下「区域区分」という。)を定めることができる。
2 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。
3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。

市街化調整区域は、市街化が抑制されるエリアであるため、原則として、建物を建てることができません。

建物を建てることができないということは、利用価値が低いということです。

「建物の敷地としての『宅地』」をベースに評価するのであれば、かなり減額する必要があります。

建物を建てることができないのは「原則として」なので、実際には建築できる場合があります。

建築できるので、実際に周囲に建物が建っていて、土地が宅地と同じような金額で売買されているのであれば、減額する必要はない、ということになります。

そこまでいかないけど、要件を満たせば、建築できる、という場合もあります。

法的規制の話なのですが、実際には、個別性が強い話になるため、その雑種地の状況により、どれくらい減価する(しんしゃくする)かが、2つ目のポイントとなります。

想う相続税理士

市街化調整区域内にある「その他の土地」的な雑種地は、①「何ベースで評価するか」、②「宅地ベースで評価するなら、宅地との格差はどれくらいか」の順で考えます。