相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続財産の中に、上空に高圧線が走っている土地がある場合の、その土地の評価方法について、お話します。
貸宅地と同じような計算構造
高圧線下の土地の評価のお話をする前に、まず、貸宅地の評価について、お話します。
借地権の目的となっている宅地(貸宅地)の評価額は、ザックリお話すると、
自用地としての価額△自用地としての価額×借地権割合
と計算します。
「自用地としての価額=貸していないものとして計算した評価額」から、借地権相当額を控除するのです。
借地権割合が40%の地域の土地であれば、自用地価額のうち40%部分が借りている人が有する権利(借地権)部分の価額(財産価値)、残りが地主の分、ということです。
路線価10万円の道に接している100㎡の土地を貸している場合、
10万円×100㎡(=1,000万円)△1,000万円×40%=600万円
となります。
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他人に土地を貸した場合には、地主と言えども、その土地を自由に使えなくなるワケですから、その分、その土地の価値が下がる、という考え方により、このように計算します。
高圧線下の土地についても、これと同じようなスタンスで計算します。
貸宅地と同じように、上空に高圧線があると、利用(建物の建築など)に制限を受けるからです。
「区分地上権に準ずる地役権」をマイナスする
高圧線下の土地を評価する場合には、自用地価額から「借地権価額」をマイナスする代わりに、「区分地上権に準ずる地役権価額」をマイナスします。
借地権の事例では、「借地権割合」40%を控除しましたが、高圧線下の土地については、
- 家屋の構造、用途等に制限を受ける場合・・・30%
- 家屋の建築が全くできない場合・・・「50%」または「その土地の所在する地域の借地権割合」のいずれか高い割合
高圧線下の土地が倍率地域に所在する場合には注意
その高圧線下の土地が、倍率地域に所在する場合、上記の「自用地価額」の計算要素がどのように評価されているかのチェックが必要です。
倍率地域の土地は、原則として、
固定資産税評価額×倍率
で計算するのですが、この「固定資産税評価額」が、高圧線が上空を走っていることにより、既に安く計算されている場合があるのです。
その場合、さらに「区分地上権に準ずる地役権価額」をマイナスすると、二重に減価(安く)することになってしまいます。
ですから、「自用地価額」部分については、高圧線が上空を走っていることにより、
- 固定資産税評価額が既に減価されている場合・・・1㎡当たりの近傍宅地の評価額等をベースに、減価される前の(減価を受けない状態の)自用地価額を計算
- 固定資産税評価額が減価されていない場合・・・固定資産税評価額×倍率(通常計算)
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