相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続財産の中に、保安林や保安林に生えている木などがある場合の、その評価方法について、お話します。
こちらの記事もご覧ください。
想う相続税理士秘書
コンテンツ
保安林等の土地利用や立木伐採を制限する法律は森林法だけではない
財産評価基本通達「50 保安林等の評価」「123 保安林等の立木の評価」には、「森林法その他の法令の規定に基づき土地の利用又は立木の伐採について制限を受けている山林」「森林法その他の法令に基づき伐採の禁止又は制限を受ける立木」の価額についての評価が定められている
「森林法その他の法令」となっているので、森林法だけではない
法令等の範囲は下記のとおり
- 森林法
- 砂防法
- 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
- 文化財保護法
- 自然公園法
- 漁業法
- 地すべり等防止法
- 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法
- 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法
- 都市計画法
- 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律
- 林業種苗法
- 自然環境保全法
- 絶滅のおそれのある野生動植物の保存に関する法律
立木の伐採制限が大きいほど評価額が下がる
具体的には、何の制限もない山林・立木として評価した金額から、その山林の上に生えている立木について加えられる制限の程度に応じて定められた控除割合を控除する
10万円の山林について、控除割合が0.3であれば、
10万円△10万円×0.3=7万円
と計算する(3割控除・7割評価)
この場合の制限(法令に基づき定められた伐採関係の区分)と控除割合は以下のとおり
- 一部皆伐・・・0.3
- 択伐・・・0.5
- 単木選伐・・・0.7
- 禁伐・・・0.8
伐採制限が重複する場合にはどう評価する?
法令による地区の指定等が重複することにより、伐採制限が重複する場合があるが、この場合には、最も厳しい伐採制限に基づく控除割合によって評価する
例えば、森林法では0.3(一部皆伐)だが、文化財保護法では0.8(禁伐)の場合には、0.8を使用し、0.3は使用しない(二重に使用しない)
控除割合(伐採の方法等)が定められていない地区等もある
土地の利用や立木の伐採について制限する法令があったとしても、伐採に係る許可基準が法令に明記されていなかったり、伐採に係る許可基準が都道府県条例により定められる場合がある
これらに該当する場合には、控除割合を個別に検討する必要がある
想う相続税理士
その森林が保安林であるかどうかの確認及び保安林である場合その伐採方法(指定施業要件といいます)は、都道府県で保管している「保安林台帳」で確認することができます。