相続税専門税理士の富山です。
今回は、亡くなった方が入院されていたような場合で、亡くなった月の入院医療費などを、相続人の方が相続後にお支払になった場合の取扱いについて、お話します。
相続税を安くする効果がある
相続税申告のお客様には、申告に必要な書類をご案内する際、「医療費等、死亡後に支払ったものの請求書や領収書」をご用意いただくようお願いしています。
亡くなった方が入院されていたり、訪問介護を受けられていた場合、亡くなった月の分の費用は、相続後に相続人の方に請求が来るはずです。
この費用は、相続開始時点で未払(債務)となっていて、その支払は相続人に引き継がれます。
相続税の申告においては、相続人の方が、亡くなった方のこのような債務を負担した場合、土地や預貯金などのプラスの財産から、その負担した債務の金額を控除して、相続税を計算することができます(これを「債務控除」と言います)。
想う相続税理士秘書
所得税を安くする効果がある
相続人の方が、死亡後に支払った亡くなった方の医療費の領収書は、上記でお話したように、相続税の申告で使えます。
でも、まだ使い道がある場合があります。
相続人の方の所得税の確定申告で、医療費控除に使える場合があるのです。
医療費控除は、本人の医療費だけに限定されていません。
所得税法(一部抜粋加工)
第73条 医療費控除
居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払つた場合において、
その医療費を負担した相続人の方が、亡くなった方と生計を一にする(ザックリ言うと「お財布が一緒の関係の」)親族に該当する場合には、ご自分の確定申告で、医療費控除に使うことができます。
亡くなった方が医療費をクレジットカードで支払っていた場合
亡くなった方が、ご自分の生前の医療費をクレジットカードでお支払になっていて、銀行口座からその利用額が引き落とされる前にお亡くなりになった場合はどうなるでしょうか?
相続税の申告に関しては、引き落とされなかった分(未払分)を相続人の方が引き継いで支払うことになりますから、債務控除の対象となります。
所得税の申告に関しては、(相続人の方の確定申告ではなく)亡くなった方の確定申告(準確定申告)における医療費控除の対象となります。
国税庁ホームページ・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例
歯の治療費を歯科ローンやクレジットにより支払う場合
歯科ローンは、患者が支払うべき治療費を信販会社が立替払をして、その立替分を患者が分割で信販会社に返済していくものです。したがって、信販会社が立替払をした金額は、その患者のその立替払をした年(歯科ローン契約が成立した時)の医療費控除の対象になります。
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