相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続財産の評価の時点について、お話します。
相続財産を換金して相続税を払うとしたら?
相続で財産を取得した場合、財産の金額が遺産に係る基礎控除額(相続税の非課税枠)を超えるなど、一定の要件に該当する場合には、相続税を納めることになります。
相続で財産を取得した方の担税力(税金を納める能力)の源泉は、その相続した財産です。
ザックリ言うと、その相続財産を換金して(売却して)納税資金を用意できるから、相続税を納めることができるのです。
この担税力に応じて相続税を納めることになりますから、長男が1,000万円、次男が2,000万円の財産を相続した場合、特例の適用等がないと仮定すると、次男が払う相続税は長男が払う相続税の2倍になります。
遺産分けの話し合いがまとまり、相続財産の名義書き換えが終了した時点で、その相続財産は相続人の方などのモノになるワケですが、この相続財産は、その種類にもよりますが、日によって大きく値段(評価額)が上下します。
値段が下がった時点で自分のモノになったら、担税力は下がります。
相続財産はいつの時点で評価する?
相続税法(一部抜粋)
第22条 評価の原則
相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。
財産評価基本通達(一部抜粋)
1 評価の原則
財産の評価については、次による。
(2) 時価の意義
財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日)において、通常成立すると認められる価額
「財産の取得の時における時価」「財産を取得した日」ということは、相続税を計算する元となる財産の評価額は、遺産分けで取得した時の値段、ということになるのでしょうか?
でもそうすると、ワザと値段が下がった時に遺産分けをすれば、相続税も安くなる、ということになります。
そんなことが通用するのでしょうか?
遺産分けのタイミングは関係ない
民法(一部抜粋)
(遺産の分割の効力)
第九百九条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。
上記にあるとおり、相続開始時(死亡日時点)に遺産分けの効力がさかのぼって発生しますので、遺産分割協議書の日付がいつだろうが、取得したのは死亡日ということになるため、遺産分けのタイミングは、財産評価に影響を及ぼしません。
想う相続税理士