相続税専門税理士の富山です。
今回は、毎年の所得税の確定申告と、将来において万が一があった場合の相続税の申告との関係について、お話します。
所得税の確定申告で加入している保険契約を税務署に教えている
所得税の確定申告の時期が近づいてきました。
ご自身で確定申告をされる方は、収入に関する書類など、確定申告に必要な書類を揃えて、申告書の作成準備にとりかかっている頃だと思います。
確定申告では、収入や、そこから控除できる経費だけでなく(収入から経費などを引いたモノを「儲け」という意味で「所得」と言います)、そこから社会保険料控除や配偶者控除、医療費控除などの「所得控除」を差し引いて、税金を計算します。
この所得控除の中には「生命保険料控除」「地震保険料控除」もありますが、この2つは、後々の相続税申告に影響するという点に、留意していただきたいと思います。
生命保険料控除を適用しているということは、生命保険や介護医療保険、個人年金に加入している、ということです。
その方に相続があった場合に、それらの契約により、生命保険金がご遺族の方に支払われれば、その生命保険金は、「相続税の課税対象」になります。
相続後に相続人の方が医療関係の給付金を請求し、受け取ることができる場合もあります。
そのお金は、亡くなった方の代わりにご遺族の方が受け取ることができる「相続財産」です。
年金についても同様です。
相続後にお金を受け取らなくても相続税の対象になるモノもある!
生命保険に加入していて、生命保険料控除の適用を受けていた方が亡くなっても、その生命保険から保険金が支払われない場合もあります。
その亡くなった方が、ご自分に掛けていたのではなく、ご家族に掛けていたような保険の場合です。
この場合、死亡保険金の支払いはありませんが、その保険契約自体に経済的価値がある場合、具体的には、仮に解約したらお金が戻ってくる場合には、その保険契約が「相続財産」になります。
これは、地震保険料控除を適用している場合にも注意が必要です。
地震保険自体に経済的な価値がない場合でも、地震保険と一緒に積立型の火災保険に加入している場合があります。
この場合にも、その火災保険を仮に解約したらお金が戻ってくるのであれば、その保険契約にそれだけの経済的価値がある、ということですから、その保険契約を「相続財産」として申告する必要があります。
生命保険料控除・地震保険料控除の上限額を超える場合の注意点
生命保険料控除や地震保険料控除は、控除額の上限が定められているため、複数の保険の契約がある場合、例えばAとBという契約がある場合、Aだけで控除額の上限に達した場合には、Bの控除証明書を使わない、ということもあると思います。
しかし、保険契約としては、AもBもあるワケですから、Aの控除証明書だけを使って確定申告をするにしても、Bの控除証明書も控と一緒に保管しておくなどして、保険契約があることを忘れないようにしておき、後々の相続税の申告や保険金請求などで困ることがないようにしておきましょう。
想う相続税理士
相続税の申告で保険関係の財産をもらさないよう、ご注意を。