相続税専門税理士の富山です。
今回は、亡くなった方がお持ちだった上場株式の基本的な評価方法について、お話します。
相続財産は「時価」で評価する
モノの値段には色々ありますが、相続税の申告をする上で財産を評価する場合、その財産の「時価」で評価することを原則としています。
財産評価基本通達(一部抜粋)
1 評価の原則
財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。
大勢の第三者間で頻繁に売買されていれば、高く売りたい、安く買いたい、というせめぎ合いの中で値段が決まっているため、それが現在の価格(時価)と考えられますが、例えば、一族で経営しているような同族会社の株式(非上場株式)だと、売り買いすること自体を制限する規定が設けられていることが多く、パッと時価が分からないため、亡くなった方が同族会社の株式を持っていた場合、その会社の経営や資産の状態等を元に、税金計算上の株価を計算することになります。
上場株式にはちゃんと「株価」がある
上場株式の場合、金融商品取引所に上場され、株価が発表されています。
ですから、その株価を元に計算します。
株価が300円で、1万株所有していたのであれば、300円×1万株=300万円ということです。
本当に正確に計算するとすれば、亡くなった「時間」の株価を採用する必要があるのかもしれませんが、そこまでやらず、亡くなった「日」の「最終価格(終値)」で計算します。
株価が乱高下していたらどうする?
上場株式の株価は日々変化しています。
前日は株価が低かったのに、たまたま亡くなった日に株価が急上昇し、翌日また株価が下がった、という場合、亡くなった日の最終価格で評価するということは、その急上昇した株価を採用することになるのでしょうか?
特殊な要因により株価が急上昇し、たまたまその時に亡くなった、という場合、その株価は、実質的な価値を表しているとは言えませんし、不公平になってしまいます。
そこで、次の金額のうち、最も低い金額で評価することになっています。
- 亡くなった日の最終価格
- 亡くなった日の属する月の毎日の最終価格の月平均額
- 亡くなった日の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額
- 亡くなった日の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額
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