【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税の延納が認められるように遺産分割を工夫する

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の延納のメリットと、それを享受するための工夫について、メモします。


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相続した現預金を一気に減らしたくない場合にはどうすればいい?

相続税は現金一括納付が原則

相続財産が不動産ばっかりだと、納税資金を用意するのが大変

それに対して、相続財産が現預金ばっかりだと、その現預金の中から払えばいいのでラク

とはいえ、相続税の納税でいっぺんに現預金が無くなってしまうのも不安な場合もある

家などの大きな買い物をする時に、お金があっても住宅ローンなどを組む人はいる

手元のお金を残しておくことで有事に対応できる

金融機関はローンを組む際、お金を持っているからダメとは言わない(逆にお金を持っている人の方が安心して貸せる)

相続税の納税でいっぺんにお金が無くなるのが嫌な場合、住宅ローンの返済のように、ちょっとずつ払うことも可能

それが延納

延納には要件がある

しかし、住宅ローンと違うところは、お金を持っていると許可してもらえない、という点

お金があるならサッサと納めろ、ということ(現金一括納付が原則だから)

相続税の延納を申請するためには、次の要件を満たす必要がある

  1. 相続税額が10万円を超えること
  2. 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること
  3. 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること(ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要なし)
  4. 延納申請に係る相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること

上記②の「金銭で納付することを困難とする事由」がないとダメ

現預金をたくさん相続すると、許可されづらくなる

逆に、現預金を相続しなければ、認められやすくなる

現預金を相続しなくても、手持ちの現金等(納税者固有の現金・預貯金その他換価の容易な財産)も考慮されてしまうので、ご注意を。

想う相続税理士秘書

遺産分割の内容は延納の可否に直結する

相続税の納税により、ご一家の財政状態を悪化させたくない場合、亡くなった方に配偶者がいれば、配偶者に現預金を相続してもらい、その他の方(例えば長男で収入がある方)が現預金を相続しない(不動産を相続する)ようにしつつ、延納を申請する

配偶者が現預金をたくさん持っていようが、長男が「金銭で納付することを困難」としていれば、延納は認められやすくなる

延納が認められれば、長男は一気に相続税を納税する必要がなくなる

配偶者は、配偶者の税額軽減という特例により、正味財産1億6,000万円までは相続税がかからないので、1億6,000万円以下であれば、相続した現預金が相続税の納税により減ることはない

結果的に、ご一家の現金保有残高を減らさずに済む

想う相続税理士

(上記の例で長男の)不動産の相続割合が高いと(高くすると)、延納に係る利子税の税率(延納利子税割合)が低くなり、延納期間も長くなることから、有利に、ゆっくり返済できます(できるようになります)。