相続税専門税理士の富山です。
今回は、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」以外にも、3年を経過すると適用が受けられなくなる特例について、お話します。
所得税の確定申告をする時に相続税が経費になる
相続で取得した土地、建物、株式などの財産を、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる
譲渡所得(税金の対象となる儲け)の金額は、「土地や建物などを売った金額」から「取得費」と「譲渡費用」を差し引いて残る金額
「取得費」に相続税が加算されると、差し引く金額が増えるので、残る金額が減り、所得税が安くなる
相続した非上場株式をその会社に買ってもらう
同族会社の株式など、非上場株式を相続した場合、会社の業績や財政状態が良かったりすると、相続税が高くなる
納税資金を工面するため、その株式を売却したいところだが、通常は簡単に売れないことになっているし(取締役会などの許可が必要)、誰にでも売っていいワケではない(下手をすると会社が乗っ取られる)
この株式をその発行会社に買い取ってもらうとラク
ただし、この場合に注意しなければならないのは、発行会社に株式を売却した場合、その売却収入の中に「未収配当」だった部分があるときがあるということ
ザックリ言うと、出資したのは1,000万円なのに、会社に売却したら3,000万円のお金になった、という場合、それは、その会社の過去の業績が良かったので、会社にお金が貯まっていたということ(だから3,000万円の価値になっている、ということ)
儲かったら株主に分配されるべきだが、それもしてこなかった(だから会社にお金がたまって株価が高くなっている、と考える)
つまり、1,000万円を超える2,000万円部分は、今までもらっていなかった配当金部分
この未収配当部分を、株式を手放すタイミングでもらっている、と考える
この2,000万円部分は配当所得として総合課税になり、超過累進税率で金額が大きくなればなるほど、税率も上がっていく(最高は50%を超える)
会社に株式を買い取ってもらうのは、ここがネックになる
3年以内に売却すると総合課税を避けることができる
上記の非上場株式を、相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に発行会社に売却した場合には、上記の2,000万円の部分は譲渡所得として申告分離課税になり、20.315%の税率で済む(「みなし配当課税の特例」と言います)
納付すべき相続税が発生していることが条件
相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例に関する届出書の提出が必要
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