【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

建築途中の賃貸物件用地は貸家建付地評価できる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、建築途中の賃貸物件があった場合に、その敷地について貸家建付地評価ができるかどうかについて、お話します。


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アパートや貸家の敷地は相続税が安くなる

他人に貸している土地は、地主であっても、勝手に使えない(利用に制約がある)ため、相続税評価額が安くなります。

土地をそのまま貸すのではなく、建物を建てて、その建物を貸している場合も、その建物を借りている方の権利が土地にも及ぶので、未利用の土地や自分で使っている土地に比べて、相続税評価額が安くなります。

このような、貸家の敷地の用に供されている宅地、つまり、自分の土地の上に建築した家屋を他の方に貸し付けている場合のその宅地を「貸家建付地」と言い、次の割合だけ安く評価します。

借地権割合×借家権割合×賃貸割合

借家権割合は30%ですので、例えば、借地権割合が40%の地域で、賃貸割合が100%(つまり満室)の場合には、

40%×30%×100%=12%

ですから、2,000万円の土地であれば、
2,000万円×12%=240万円
安くなるため、
2,000万円△240万円=1,760万円
となります。

賃貸物件の建築中に相続があった場合は貸家建付地になる?

アパートや貸家を建築するのには時間がかかります。

その途中で相続が発生した場合、貸家建付地評価をすることはできるのでしょうか?

国税不服審判所・裁決事例集No.50・235頁・平7.11.14裁決(一部抜粋加工)

貸家建付地とは、借家権の目的となっている建物の敷地として利用されている現況にある宅地でなければならない
原則として
①完成した建物が存在していること
②賃借人が建物の引渡しを受けて現実に入居していることあるいは契約上の賃貸借開始期日が到来していること
③通常の賃料に相当する金銭の授受があることあるいはその権利義務が発生していること
等の要件をすべて具備する建物の敷地をいうものと解することができる
貸借予約契約は将来の賃貸借契約を締結させる義務を確認するものであり、事実上の賃貸借契約の締結と解することはできない

(参考)建築中の相続発生について小規模宅地等の特例に関する通達がある

租税特別措置法関係通達(一部抜粋加工)
69の4-5 事業用建物等の建築中等に相続が開始した場合
建物等の取得後被相続人等が事業の用に供する前に被相続人について相続が開始した場合で、当該相続開始直前において当該被相続人等の当該建物等に係る事業の準備行為の状況からみて当該建物等を速やかにその事業の用に供することが確実であったと認められるときは、当該建物等の敷地の用に供されていた宅地等は、事業用宅地等に該当するものとして取り扱う
なお、当該被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族又は当該建物等若しくは当該建物等の敷地の用に供されていた宅地等を相続若しくは遺贈により取得した当該被相続人の親族が、当該建物等を相続税の申告期限までに事業の用に供しているとき申告期限において当該建物等を事業の用に供していない場合であっても、それが当該建物等の規模等からみて建築に相当の期間を要することによるものであるときは、当該建物等の完成後速やかに事業の用に供することが確実であると認められるときを含む。)は、当該相続開始直前において当該被相続人等が当該建物等を速やかにその事業の用に供することが確実であったものとして差し支えない。

想う相続税理士

貸家建付地については、その土地の利用に制約を受けることが評価減の根拠になっています。

相続開始時点で利用に制約があるかどうかをきちんと確認し、評価減ができるか検討しましょう。