【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

負担付贈与により財産をもらった方の税金はどうなる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、負担付贈与により財産をもらった方の課税関係について、お話します。


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負担付贈与とは?

負担付贈与とは、財産を渡す方が、渡される方に、一定の債務を負担させることを条件に行う財産の贈与です。

「財産あげるけど、借入金を返しておいてね」という感じです。

渡された方はいくらトクした?

相続税法基本通達(一部抜粋加工)
21の2-4 負担付贈与の課税価格
負担付贈与に係る贈与財産の価額は、負担がないものとした場合における当該贈与財産の価額から当該負担額を控除した価額によるものとする。

贈与財産の価額から負担額を控除した金額をベースに贈与税を計算する、とあります。

この「贈与財産の価額」「通常の取引価額」=「時価」です。

通常、贈与税は「相続税評価額」をベースに計算されます。

路線価地域の土地であれば、「路線価×面積」をベースにした金額です。

これとは違う「時価」を計算し、そこから負担額を控除して、贈与税を計算します。

建物の時価はどう計算する?

負担付贈与通達(一部抜粋加工)
1 土地及び土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)並びに家屋及びその附属設備又は構築物(以下「家屋等」という。)のうち、負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得したものの価額は、当該取得時における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。
ただし、贈与者又は譲渡者が取得又は新築した当該土地等又は当該家屋等に係る取得価額が当該課税時期における通常の取引価額に相当すると認められる場合には、当該取得価額に相当する金額によって評価することができる
(注) 「取得価額」とは、当該財産の取得に要した金額並びに改良費及び設備費の額の合計額をいい、家屋等については、当該合計金額から、評価基本通達130((償却費の額等の計算))の定めによって計算した当該取得の時から課税時期までの期間の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額をいう。

負担付贈与通達を見ると、

「取得価額」が課税時期における「通常の取引価額」(つまり「時価」)に相当すると認められる場合には、その「取得価額」で計算していい

とあります。

この「取得価額」についての注書きを見ると、土地については「取得に要した金額+改良費+設備費」なのですが、建物については、「取得に要した金額+改良費+設備費から、評価基本通達130((償却費の額等の計算))の定めによって計算した償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額」とあります。

「評価基本通達130」を見ると、

財産評価基本通達(一部抜粋)
130 償却費の額の計算
前項のただし書の償却費の額を計算する場合における耐用年数等については、次に掲げるところによる。
(1) 耐用年数
耐用年数は、耐用年数省令に規定する耐用年数による。
(2) 償却方法
償却方法は、定率法による。

とありますので、定率法により減価償却した後の金額を時価と考えていい、ということになります。

想う相続税理士

その減価償却後の金額が「通常の取引価額に相当すると認められる場合」という条件付きですので、計算した金額を採用しても問題がないか、きちんと検討しましょう。