相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続に同族会社が絡む場合、典型的な例ですと、同族会社の「社長」兼「大株主」が亡くなる、といったようなケースの対応策について、お話します。
同族会社の株式は経営権(支配権)の源泉
同族会社の社長兼大株主が亡くなった場合、後継者は、その同族会社の株式を相続する必要があります。
社長になるだけでは経営はできません。
安定した経営をするためには、株式を所有しすることにより、支配権を獲得する必要があるのです。
株式が分散すると、会社の経営に影響を及ぼします。
後継者が株式を独占的に相続するためには、その他の相続人が、それ相応の財産(現金)を取得できないと、遺産分けの話し合いがまとまらない可能性があります。
株式を独占的に相続するためには、他の相続人が現金を相続できる環境が必要となります。
さらに後継者も、その株式に係る相続税を納めるための納税資金を手に入れる必要があります。
同族会社が絡む相続は大変です。
同族会社からお金を引っ張る、同族会社にお金を作る
同族会社が絡む相続は、通常の相続に比べ、大変な面もありますが、同族会社を有効に活用できる側面もあります。
社長兼大株主がキャッシュを潤沢に持っている場合、資産の組み換えをすることにより、相続税が下がる場合があります。
社長兼大株主が、同族会社が所有している宅地を買い取れば(会社が宅地を売却すれば)、社長兼大株主の将来の相続財産は、キャッシュから土地に変わります。
この土地が一定の要件を満たすことにより、特定同族会社事業用宅地等に該当すれば、小規模宅地等の特例の適用により、400㎡まで8割引きで評価することができます(相続税の負担が軽くなります)。
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土地の売却により同族会社がお金を手に入れれば、相続の際に死亡退職金を支払う原資にすることができます。
死亡退職金には、独自の非課税枠(500万円×法定相続人の数)があるため、相続税の負担が軽くなります。
死亡退職金の支給を受けた方は、相続税の納税資金に充てたり、間接的に代償分割金の原資として利用することもできます。
また、同族会社がキャッシュを持っていれば、相続後の株式を、相続人が同族会社に売却して相続税の納税資金を捻出することも可能になります。
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